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算数・数学から見えてくる世界 
文/学林舎算数・数学顧問  深見 和孝 

 今年、1回目のコラムとなります。そこで、今回のコラムのテーマは、年初めにあたって縁起の良い「鶴と亀」にしました。算数で「鶴と亀」といえば、「つるかめ算」です。この算法を知っている方は多いかと思いますが、
「名前を聞いたことはあるが、どんなものかはよく知らない。」という方もおられるでしょうから、まずは、「つるかめ算」の問題をとり上げます。


【問題】鶴と亀が合わせて8頭います。足の本数を数えると、全部で22本ありました。鶴と亀はそれぞれ何頭いるでしょうか?


 もちろん、鶴1羽の足は2本、亀1匹の足は4本です。解き方は教える人によって色々でして,方程式を使って解くと簡単ではあるのですが、ここでは、図を使った解き方をご紹介します。
 まずは、下の図を見てください。2つの長方形の面積は、それぞれ鶴の足と亀の足の本数を表しています。つまり、図形全体の面積を22(本)と考えて、長方形の横の長さを求めればよいのです。



 この図形を、下の図のように、上の図とは別の2つの長方形に分けてみましょう。下側の長方形の面積は、2×8=16より、16(本)です。これは、8頭全部が鶴であった場合の足の本数です。そして、全体の面積は22(本)なので、上側の長方形の面積は、22−16=6(本)です。もう、おわかりでしょうか?上側の長方形の縦の長さは4−2=2(本)なので、横の長さは6÷2=3(頭)とわかります。これが亀の数です。鶴の数は8−3=5(頭)ですね。



 ところで、みなさんは、「つるかめ算はヘンだ。」と思いませんか?鶴と亀が一緒にいる様子を思い浮かべてください。鶴の極端に細長い足と、亀の太短い足を一緒に数えようとするでしょうか。なぜ、「猿の足と猫の足」や「タコの足とイカの足」ではないのでしょうか。私は、ずっとヘンだヘンだと思っていたのですが、最近になって気づいたことがあります。鶴の足と亀の足のように普通は一緒に数えそうにないものを題材にしたのは、作者のシャレだったのでは?(もちろん、鶴と亀は縁起が良い動物だからという理由もあるでしょうが)
 江戸時代に書かれた有名な算数の本に「塵劫記(じんこうき)」というものがあります。この本に「つるかめ算」は載っていないようですが、色々と面白い問題が書いてあります。たとえば、「布盗人算(きぬぬすびとざん)」というのがあります。中学受験問題では「過不足算」と言い換えられているもので、次のような問題です。


【問題】橋の下で盗人たちが盗んだ布を山分けしている話が聞こえてきます。「布を7反ずつ分けると8反余るし、8反ずつ分けると7反足りなくなってしまうなあ。」さて、盗人たちは何人いて、布は何反あるでしょうか?


 算数の問題にドロボウが15人(答えです)も登場するなんて、シャレがきいています。当時の大人(江戸っ子)たちを楽しませるために書かれたことがうかがわれます。当時もドロボウはとんでもない悪い奴らであったのでしょうが、一方で善い題材や表現にこだわらない姿勢が新鮮です。(橋の下でドロボウが集まっていたら、すぐに警察に通報するのが模範的な市民です。)上手く説明できないのですが、江戸時代の善悪の分け隔て方は、現代よりもずっと緩やかだったのかなあ、と思えます。
 布盗人算を現代風にアレンジして、「カラオケボックスで、下着ドロボウたちがパンティを山分けしています・・・。」という問題原稿を渡したら、編集者(出版社)はどんな反応を示すだろうか?ひょっとしたら、私は大事な取引先を1つ失うリスクを覚悟しなければならないかもしれません。でも、400年後に、「昔は、一銭にもならなくても、下着を盗むユニークなドロボウがいたんだなあ。」と興味深く読んでくれる人がいるかもしれないことを想像すると、どうにも書いておきたい気分になってしまいます。(つづく)




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