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国語を考えてみる ああ、素晴らしき哉、日本語I 
文/学林舎国語顧問  森本 秀俊

 「ふとんがふっとんだ」、「電話にだれも出んわ」、「トイレに行っといれ」。私もふくめ、世の中年男性は、ダジャレが好きです。いわゆる「親父ギャグ」と呼ばれるものです。まあ、「親父ギャグ」というものは、だいたいが場をしらけさすもので、本人はいい調子になって言っても、まわりからは冷たい視線を受けるのがオチです。しかし、これもまた、日本語の文化の1つだと思うのは私だけでしょうか。
 インターネットで調べてみると、中にはなかなかすぐれたダジャレ(親父ギャグ)があることを知りました。

「いいヅラ買ったこと、言いづらかった」
「エキゾチックに、駅増築」
「『おでんはありました』と、お電話ありました」
「調布市議会は、超不思議かい」
「佐賀市にあるかないか? さがしに歩かないか?」
「カツしか食わない人、勝つ資格はない」
「エーゲ海の、ええ外科医」
「了解ないのに、領海内」


 どうです。これくらいのレベルのダジャレになると、文化の香りがしてきませんか。これらのダジャレをつくった人は知性豊かな人にちがいありません。
 昔、「ボキャブラ天国」というバラエティ番組がありました。これは、ダジャレとは少し違いますが、コントをしながら、ある言葉とよく似た言葉でオチをつけるという番組で、この番組は、現在活躍しているたくさんのお笑い芸人を輩出しました。
 ある漫才コンビがやったネタで印象深いものがありました。バーのマスター役の一人が、カクテルをつくろうとシェイカーをカシャカシャとふっています。客役のもう一人がマスターに世間話を話しかけますが、マスターはカシャカシャカシャカシャとシェイカーをふり続けながら返事をします。マスターは、カシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャとしつこいくらいにシェイカーを振り続け、見ている私もうっとうしいなと思うくらいでした。そして、世間話が終わったあと、客が最後に一言。画面には「マスター、水割り」という文字が出ますが、客のはいた言葉は「マスター、目ざわり」でした。二人の間が抜群で、私はテレビの前で爆笑したことを憶えています。
 もっともっと昔から、日本には、1つの言葉で2つの違う意味の言葉を言い表すという表現技法がありました。それが掛詞です。

大江山 いく野の道の 遠ければ
    まだふみもみず 天の橋立


 この和歌は、百人一首にも選ばれているもので、和泉式部の娘である小式部内侍のうたった歌です。この和歌に2つの掛詞が使われています。まず、「いく野」ですが、これは「生野」という地名と「野を行く」という意味をかけています。そして「まだふみもみず」は、「踏み」と「文(手紙)」をかけたもので、「行ったことはない」ということと、「母からの手紙をまだ見ていない」という2つの意味を表しています。掛詞は結局、ダジャレのような感性でつくられたのではないかと思います。音が同じで意味が違う2つの言葉、それを巧みに利用して、歌に彩りをそえる。この素晴らしい感性は、「親父ギャグ」を好むおっちゃんたちに引き継がれているのかもしれません。

 ちなみに英語のダジャレはどんなものでしょうか。

What is the seasoning that you catch?
(あなたが捕まえる調味料はなあに?)
Ketchup!(ケチャップ)


 「捕まえる」という意味のcatch up(キャッチアップ)とKetchup(ケチャップ)がダジャレになっています。

 英語で親父ギャグは難しそうですね。

 ああ、素晴らしき哉、日本語。(つづく)



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