本文へスキップ

教材出版 学林舎は学習教材の制作・販売、教育商材(理科実験工作教材・アメリカの教科書など)を取り扱っています。

TEL. 06-4962-5876

〒661-0035 兵庫県尼崎市武庫之荘3-19-3

新しい教育シーンをクリエイト


算数・数学から見えてくる世界 
文/学林舎算数・数学顧問  深見 和孝

 前回は、江戸時代の算数の本「塵劫記(じんこうき)」に書かれた「布盗人算(きぬぬすびとざん)」について書きましたが、塵劫記には他にもこんなユニークな問題があります。

【問題】まだ七歳だが美人で評判の娘に一目惚れをした三十男が、娘の親に結婚の許しを請うたところ、「年齢が違いすぎる。せめて娘の歳の二倍以下なら許してやるものを。」という返事であった。そこで、男は一計を案じ、男の歳が娘の二倍以下になることができたら結婚を認めてもらう約束を取り付けた。男が結婚できた年齢は何歳か?」

 現代では、七歳の少女にプロポーズする三十男は、まずいませんよね。十七歳の女子高生にプロポーズする四十男なら十分ありえますけど。二十七歳の女性にプロポーズする五十男なら、年齢が二倍以下なので、許してもらえたわけです。おそらく、娘の親は結婚を許す気などさらさらなくて、断わる口実に「せめて年齢が二倍以下だったらなあ。」と言ったのでしょう。七歳の二倍以下というと十四歳以下ということになり、人生五十年の江戸時代であっても十四歳と七歳の結婚があるはずもなく、親としてはちょっと頭のおかしい三十男を早く追い払いたくて、咄嗟に口をついたのかもしれません。ところが、この三十男は、人格はともかく数学的素養はあったようで、じっと歳をとるのを待っていれば、自分の年齢が娘の二倍以下になることがわかってしまったようです。これは、娘にとって不幸の始まりです。その理由は問題を解いてみればわかります。

 次の図を見てください。

【□年後に男の年齢が娘の二倍になるとしています。】




 図を見ると、□=30−7−7=16とわかります。つまり、16年後に、男は46歳、娘は23歳でちょうど二倍になります。江戸時代の平均寿命を50歳として、男は生きているうちに無事、結婚できるのでしょうか?それより心配なのは、16年待ち続ける娘の方です。何せ、江戸時代の結婚適齢期は16、17歳あたりで、23歳では十分に年増とよばれ、23歳でようやく初婚というのはなかなかツライ状況なのでは?無事結婚したとしても相手の男はあと何年生きられるのやら。男は一計を案じたと書いてありますが、答えが46歳ということまでわかっていたのでしょうか?賢いようで間の抜けた男の策略が何とも面白い問題です。
 話は変わりますが、江戸時代なら結婚適齢期であった、現代の16、17歳の女の子たちはスマホに夢中なようです。といいますのも、先日、夕方のニュースで「女子高生が一日7時間していること」というお題を出していまして、アンケートによると、女子高生は一日平均7時間、スマホをしているということなのです。皆さんはスマホを使ったことがありますか?残念ながら、私は、スマホを使ったことが一度もないので、「スマホをする」とは何をすることなのか、よくわかりません。ただ、毎日7時間も続けていられることに、あきれてしまうやら、何と言っていいものやら。「ほどほどにしときなさいよ。」と言ったところで止められないものなのでしょうし、親御さんにとってはどうにも困ったものなのでしょう。
 ところで、江戸時代に数学ブームがおこっていた頃、江戸っ子たちの中にも、同じように困った人がいたようです。

「ちょっと!あんた!毎日毎日、数学ばかりやってないで、ちっとは外に出て稼いできておくれよ。数学なんて道楽やっても腹はふくれないんだしさ。」

「うるせえ。オイラは数学に命をかけているんでぇ〜。オイラが働いているうちに、ライバルたちが先に問題を解いちまうかもしれねえじゃねえか。」

「あ〜あ、結局、アタシが働いてくるしかないのかねえ。まったく、数学なんてものがなくなれば、このひともちっとは働いてくれるだろうに。」

まったく、困ったものです。(つづく)




バナースペース

教材出版 学林舎



〒661-0035
兵庫県尼崎市武庫之荘3-19-3
TEL 06-4962-5876
FAX 06-4962-5877
e-mail info@gakurin.co.jp