本文へスキップ

教材出版 学林舎は学習教材の制作・販売、教育商材(理科実験工作教材・アメリカの教科書など)を取り扱っています。

TEL. 06-4962-5876

〒661-0035 兵庫県尼崎市武庫之荘3-19-3

新しい教育シーンをクリエイト


国語を考えてみる ああ、素晴らしき哉、日本語J 
文/学林舎国語顧問  森本 秀俊


 寒さもやわらぎ、いよいよ春の到来です。「春と聞いて連想するもの」というあるアンケートの結果、次のような言葉が上位にきました。

 第1位 花見
 第2位 花
 第3位 入学
 第4位 卒業
 第5位 出会い

 この結果は、私が予想したものとほぼ変わらぬものでした。日本人の「春」は第一に「桜」なのでしょう。「花見」の楽しい思い出は、多くの人の心に残っていると思います。第2位の「花」は「桜」に限らず、いろいろな花のことを指しているのでしょう。春の代表的な花といえば、「桜」のほかに、「梅」「桃」「チューリップ」「ヒヤシンス」などがあります。そして、春といえば「出会いと別れの季節」です。普段着なれない正装をし、期待と不安が入り混じった複雑な表情をしてたたずんでいた「入学式」。数年間いっしょに生活し、喜びも苦しさも恥も共有した友だちとの別れを惜しみ、なかなか校門を出ることができなかった「卒業式」。第5位の「出会い」は、学校行事に限らず、会社での出会いや、新生活のスタートとともに始まるいろいろな人たちとの出会いもふくんでいるのでしょうね。今回は、よくも悪くも心がみだれることが多い「春」の言葉を見ていきたいと思います。

東風吹かば 匂いおこせよ 梅の花
          主なしとて 春な忘れそ


 これは学問の神様といわれる菅原道真が、九州に左遷ろうときに詠んだ歌です。「春の東風が吹くようになったら、花を咲かせてその香りを届けておくれ、梅の花よ。私がいなくても、春を忘れないで」という意味になります。この歌で使われている「東風」は、「春に東から吹いてくる風」のことです。春を呼ぶ風とされています。
 「朧月」は、「春の夜に出る、水蒸気に包まれてぼんやりかすんだ月」のことです。この言葉を聞くと、「朧月夜」という有名な唱歌が思い出されます。

 菜の花畠(ばたけ)に 入り日薄れ
 見わたす山の端(は) 霞(かすみ)ふかし
 春風そよふく 空を見れば
 夕月かかりて におい淡し
 里わの火影(ほかげ)も 森の色も
 田中の小路を たどる人も
 蛙(かわず)のなくねも かねの音も
 さながら霞(かす)める 朧月夜


 今、読み返してみると、美しい言葉で彩られた本当にすばらしい詩ですね。二番の「さながら霞める」なんて、感激してしまう表現です。
 「風光る」という言葉もすてきですね。これは「春になり陽射しが強まってくると、吹きわたる風も光って見える」という意味です。この言葉を最初に言ったのが誰であるかは知りませんが、すごい感性の持ち主だったのでしょうね。農作業をしながら、「ほらあ、陽射しが強うなってきて、今日は風が光っちょるわ」などと言ったのだとしたら、すごいの一言です。
 その他にも「泡雪(あわゆき)」「薄氷(うすらい)」「陽炎(かげろう)「春雷(しゅんらい)」「蜃気楼(しんきろう)」「花冷え」「春うらら」「春告げ鳥」など、「春」は美しい日本語の宝庫です。
いい季節になりました。
 ああ、素晴らしき哉、日本語。(つづく)




バナースペース

教材出版 学林舎



〒661-0035
兵庫県尼崎市武庫之荘3-19-3
TEL 06-4962-5876
FAX 06-4962-5877
e-mail info@gakurin.co.jp