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国語を考えてみる ああ、素晴らしき哉、日本語K 
文/学林舎国語顧問  森本 秀俊

 小学校のときに学んだ歌に「春の小川」という唱歌がありました。

春の小川は、さらさら行くよ。
岸のすみれや、れんげの花に、
すがたやさしく、色うつくしく
咲けよ咲けよと、ささやきながら。


 この歌を初めてきいたとき、「さらさら」という言葉がとても印象に残ったことを覚えています。「さらさら」という言葉は「擬態語」と呼ばれるものです。
「擬態語」は「事物の状態や身ぶりなどの感じをいかにもそれらしく音声にたとえて表した語」です。「さらさら」という言葉には、大きくは5つの意味があります。

@ 物が軽くふれあってかすかに音を立てる様子。
A 水などが浅いところをよどみなく流れる様子。
B 茶漬けなどを軽やかに食べる様子。
C 物事がつかえずにはかどるさま。すらすら。
D 物に粘り気や湿り気がなくさっぱりしている様子。


 たった4文字のひらがなで、これだけ多くのイマジネーションを人々に植えつけることができる「さらさら」、恐るべしです。そして、日本語は擬態語が非常に多いことで知られています。例えば、何かを見るときの様子を表す擬態語です。「その小さな男の子はきょろきょろとあたりを見まわした。」の「きょろきょろ」。男の子の落ち着かない様子が表れていますね。
 「男はぎろっと相手の目を見つめた。」は、「ぎろっと」を使うだけで、今からけんかが始まるんじゃないかという予感がしますね。北野武監督の「アウトレイジ」という映画で使われそうな表現です。「まさるは、さやかの横顔をちらっと見た。」だと、まさるという若者が、さやかに淡い恋心をいだいていて、授業中に隣の席に座っているさやかをじっと見つめるのが恥ずかしいので、申し訳なさそうにちょっとだけ見て、ドキドキしている様子がうかがえます。少し、想像しすぎでしょうか? 「じろじろ」「じろっ」「ぼんやり」「まざまざ」「まじまじ」など、「見る」ことを表す擬態語には、他にもたくさんのものがあります。

 それでは、私が「きれいだな」と思う擬態語を紹介していきましょう。

 「あたりがひっそりと静まりかえっている様子」を表す「しんしん」はいいですね。「夜はふけていった。」にこの言葉を加え、「夜はしんしんとふけていった。」とするだけで、私には、北国の雪が降り積もった山里の、時間が止まったような静寂の光景が目にうかびます。

 「ほくほく」は、幸せを感じさせる擬態語です。「絵画コンクールに入賞して、ほくほくした顔になる。」という文を見れば幸福感に満たされます。「ほくほくしたふかしいもから白いゆげがたっている。」もう、すぐにでもかぶりつきたいですよね。

 「とっぷり」という言葉も好きです。「とっぷりと日がくれる」、「温泉にとっぷりつかる」。「とっぷり」を加えるだけで、イメージがぐんと広がります。

 最後に「ほろり」という擬態語です。この言葉は演歌っぽくて大好きです。「相手の身の上話を聞いてほろりとする。」ほろりとした人のやさしさがにじみ出てくる表現です。「きれいな女将にすすめられた地酒を口にしてほろりと酔う。」男の人でしたら、日本人に生まれてよかった、と感じる瞬間かもしれません。

 「擬態語」の魅力はつきることがありませんね。
 
 ああ、素晴らしき哉、日本語。(つづく)




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