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算数・数学から見えてくる世界 
文/学林舎算数・数学顧問  深見 和孝

 もうそろそろ、今年の全国学力テストが行われるようです。全国学力テストといえば、前回のコラムで書いたように滋賀県議会で話題になりましたし、最近では、大阪府の高校入試で学力テストの結果を内申点に反映するとかで、ニュースネタになっていました。何せ、全国の小学6年生と中学3年生各100 万人が受けるという大規模なテストですから、何かと注目を集めます。まあ、学力テストを実施する方としては、そっと見守っておいてほしいのでしょうが。
 そこで、今回は、昨年に実施された算数B(小学6年生用)の問題を1題取り上げたいと思います。以前のコラムでもネタにしたので恐縮ですが、今回は滋賀県知事の「小5の割合でつまずきが多い。」という発言を受けて、割合の問題をネタに、本当に割合でつまずく子が多いのか、割合は難しいのか、そんなことを考えてみたいと思います。なお、学力テストの問題文を一部書き変えたり、イラストを省略していることをご了承ください。


【問題】使いやすい箸(はし:ご飯を食べる箸です)の長さの目安は、「一あた半」(ひとあたはん)と言われています。
 一あたは、親指と人差し指を直角に広げたときのそれぞれの指先を結んだ長さです。(私の場合は、およそ18cm です。)一あた半は、一あたを1.5 倍した長さです。
 Aさんは妹の箸を買いに行くのに、一あたの長さについて調べると、「一あたは、身長の約10%の長さ」とわかりました。妹の身長は140cm です。
 妹の身長と、使いやすい箸の長さの目安をもとに、一あた半の長さを求めると、箸の長さは約何cm になりますか。
 求め方を言葉や式を使って書きましょう。また、答えも書きましょう。


 では、先に正答を言いますと、「まず、妹の一あたの長さを求めると、140×0.1=14 で、約14cm」「次に、妹の一あた半の長さを求めると、14×1.5=21 で、約21cm」と2つのことが説明できて答えが21cm であれば正解となります。この問題を初めて読んだとき、60%くらいの生徒が正解したのかな、というのが私の感覚でしたが、皆さんは、どう予想されますか?文科省は問題ごとの正答率を詳しく公表していまして、ホームページからいつでも見られるようになっています。それによると、この問題の正答率は、33.3%、つまり、3人に1人の割合で正解したということです。予想通りという賢明な方もおられるでしょうが、私の場合は、え〜まずいだろう、なんて思ってしまいました。これは最終問題なので、時間が足りずできなかった生徒が多かったのでは?と考えましたが、無解答率(何も書かなかった生徒の割合)は13%でしたので、そういうことでもなさそうです。答えだけが正解で、説明を書かなかった生徒が多かったのでは?とも考えましたが、答えが合っていた生徒は36.2%ということで、答えが合っていた生徒のほとんどは説明も合っていたということです。興味深いのは、妹の一あたの長さだけを求めて14cm で答案を書き終えている生徒が28.4%もいたそうです。また、この問題にはもう1つ設問がありまして、「一あた半(一あたの1.5 倍)を表している図を4択で選ぶのですが、その正答率が46.3% であり、一あた半を一あたに1.5cm 足した長さにした図を選んだ生徒が28.4%です。
話がややこしくなってきましたが、大雑把に言えば、6人の生徒がいて、そのうち一あた半(1.5 倍)をイメージできた生徒は3人、身長(140cm)の10%が計算できた生徒は4人、10%の計算ができて一あた半もわかった生徒が2人だったということでしょうか。
 改めて問題文を読み返してみると、140cm の10%という百分率の部分は60%強の生徒ができているということですから、間違いのもとは前半の「一あた半は、一あたを1.5倍した長さです」にあるのではないかと思います。「一あた」というのは長さの単位ではあるのですが、1 cm のように誰にとっても同じ長さというわけでなく、人によってバラバラです。そこに出題者の意図があって、生徒にとって見慣れた10%の長さに、初めて見た「一あたの長さ」「一あた半の割合」が混じって頭が混乱した、ということなのでしょうか。私の場合、「一あた」という言葉は初めて知りましたが、指を開いて長さを測ることはよくやるので、簡単な問題に思えたのかもしれません。
 さて、この正答率33.3%は、「割合でつまずく生徒が多い」ことを示しているのでしょうか?そのあたりのところを、次回のコラムで考えてみたいと思います。(つづく)




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