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教材出版 学林舎は学習教材の制作・販売、教育商材(理科実験工作教材・アメリカの教科書など)を取り扱っています。

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新しい教育シーンをクリエイト


○算数・数学から見えてくる世界 
文/学林舎算数・数学顧問  深見 和孝
 学林舎の代表的な教材に「単元別テキスト」というものがあり、全国の学習塾やご家庭で幅広く使われています。これは中学数学の教材で、文字通り「正負の数」「方程式」などの単元ごとの冊子になっています。1学年に7〜8冊あるので、3学年分をまとめると結構な分量になります。
 今回のコラムでは、この「単元別テキスト」を取り上げることにしました。教材について私があれこれ言うのはどうかなとは思いますが、私の知る範囲で意見を述べてみることにします。
 私が「単元別テキスト」を初めて見たのは20 年近く前、私がまだ20 代のさわやかな若者であった頃です。学林舎という出版社を知る前のことで、当時の私は塾の講師をだらだらとやっていました。その頃に参加していた塾で私は高校生を教えていたのですが、あるとき、中学生の数学を担当していたT講師が「今年からこの教材を使って授業をすることにしたんや。」と言って見せられたのが、「単元別テキスト」だったのです。その塾は、20 〜 30 人のクラスが1学年4クラス程度あり、数学専任の講師は私をふくめ4人ほどいたと思います。
 「単元別テキスト」というのは塾教材としては一風変わった教材で、ひとことで言えば「自学自習用教材」です。ふつう、塾教材は一斉指導の授業に合わせて、先生が使いやすいように作られているのですが、この教材は生徒が使うことのみを前提に作られています。したがって、この教材を塾の授業で使うということは、授業の進め方を変えるということにつながります。
 単元別テキストを使うことを決めたT講師は、集団一斉指導を続けることに行き詰まりを感じていたようで、塾生が減少していることもあって、思い切った方針変換をしたかったのだと思います。そういうわけで、その塾では中学生の数学の授業は、一斉指導から生徒の進度に合わせた教材中心の授業へと、授業スタイルを変更することになったのです。
 さて、3月にスタートした最初の授業後に、その講師が興奮した様子で話しかけてきたのをよく覚えています。

 「この教材はスゴイぞ。授業中いつもソワソワしていた○○君が黙々とテキストを進めているんや。今までと大違いや。」   

 スタートは大成功といった感じでした。私は高校生だけを教えていたので、直接に関わっていたわけではないのですが、とりあえずひと安心です。この調子で塾生が増えてくれればよかったのですが…。
 ところが、1か月、2か月と経つにつれて、数学のコマだけを辞める生徒が出始めたのです。他の講師に聞いたところによると、「教えてもらえないのに、塾に来る意味がない。」と不満を口にする生徒が出てくるようになったようです。その講師も、黒板を使って全員に教えるのでなく、机の間をウロウロして個別に教えるスタイルに不満があるようでした。結局、この授業スタイルは1年後に取り止めとなり、塾生の減少という結果を残すこととなります。
 今から考えれば、失敗の原因は、準備不足といいますか、動機が一斉指導の限界を感じたから変えてみたかったという安易さにあったのだと思います。現在、「単元別テキスト」を使って生徒に教えている先生方は、いろいろな工夫を取り入れておられるのではないでしょうか。
 私自身、「単元別テキスト」を使って教えた経験は一度だけあります。ある私立女子高の講師をしたとき、高校1年の授業で1か月間、「1次関数」の単元を中心に使ってみました。ほとんどの生徒が「数学、わけわからんからキライ。」という状態だったので、困り果ててのことでした。授業は多少ザワザワした感じとなり、他の先生方の目が気になるところもありましたが、生徒はそれなりにテキストを進めてくれました。ただ、その内容を定期テストに出題したところ、熱心に進めていた生徒もそうでない生徒も同じように、その範囲での結果は良くなかったのです。採点しながら、テキストを進めているように見えても、身についていたわけではないことに気づかされて、ショックであり不思議であり、原因をいろいろと考えてみました。そして、「単元別テキスト」をよく見直して思ったのは、このテキストを進めるということは、「作成者の意図に沿って( 作成者に誘導されて)、つまずかないようにする」ということ。「1本のレールに乗って、ひたすら前へ進んでいくような勉強の仕方」には、あぶなっかしい面があるということに気づいたのです。(つづく)
   





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