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○国語を考えてみる ああ、素晴らしき哉、日本語⑱
 敬語の輝き! 
文/学林舎国語顧問  森本 秀俊
 前回は国文法についてお話をさせていただきました。今回の話題は敬語です。
 私事ながら、私は合気道で長く子どもたちを指導しています。たたみがしきつめた広い道場は、子どもがさわぐにはもってこいの場所です。稽古が始まる前は、ちっちゃい人たちがキャッキャッとはしゃぎまわっています。しかし、武道ですから、稽古のときはそんな子たちをギュッとひきしめなければなりません。ところが稽古前にはしゃいで興奮している子どもたちを落ち着かせることは簡単ではありません。必ずといっていいほど、ハイテンションのまま稽古に入り、周りの子どもたちをまきこんで、しゃべったりふざけたりする輩が出てきます。小学校の1 年生のときから稽古を始め、今、中学3 年生になっているYくんもまさしくそんな子でした。「口から先に生まれてきた」とは、この子のためにあるような言葉です。小学生のころ、Yくんは稽古中にしゃべりまくるものだから、毎回のようにしかりつけていました。ところが、子どもというものは、成長するものです。中学校に入ってしばらくしてからのことでした。Yくんが私に向かって、「先生、用事があるので、来週の稽古を休ませていただきます」と言ったのです。

 突然の敬語でした。それまではどんな相手にもタメ口を聞いて、がちゃがちゃと騒いでいたYくんが敬語を使ったのです。とたんに、彼が立派な武道家に見えたのだから不思議なものです。敬語には、そのような力があります。

 日本語は、世界の言語の中でも、最も敬語が発達した言語であると言われています。それだけに、敬語を覚えてしっかり使い分けるのには、かなり苦労します。
 ご存知のように、日本語の敬語には、尊敬語、謙譲語、丁寧語の3 つの種類があります。敬語は小学校で学び、中学受験にもよく出されますが、子どもたちにとってやっかいなのは、尊敬語と謙譲語の使い分け、特に、尊敬語や謙譲語で使われる特別な言葉でしょう。たとえば、「言う」の尊敬語は「おっしゃる」で、謙譲語は「申す」です。「行く」の尊敬語は「いらっしゃる」で、謙譲語は「うかがう」です。
 さらに、自分の家族に関することには、謙譲語を使わなければならないということにとまどう子も多いようです。

 「しばらくお待ちください。お父さんがまもなく来ます。」
 相手が目上の人である場合、このような言い方は正しくありません。

 「しばらくお待ちください。父がまもなく参ります。」
 これが正しい敬語表現です。

 大人でも誤りやすい敬語表現に「二重敬語」というものがあります。
 「先生がおっしゃられていました。」

 一見正しく見える表現ですが、この言葉づかいには、「言う」という1 つの言葉に、「おっしゃる」と「~れる」という2 つの敬語が使われていて間違いです。

 「先生がおっしゃっていました。」
 正しくは、こう言わなければなりません。

 先ほどのYくんの例のように、敬語を正しく使うことができる人に対して、相手は敬意をいだきます。会話を円滑に進めるために、相手を気づかいながら、必要な場面では敬語を使う。これは日本人のコミュニケーション文化の大切な一面だと思います。

 ああ、素晴らしき哉、日本語。(つづく)




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