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○算数・数学から見えてくる世界 
文/学林舎算数・数学顧問  深見 和孝

 「数学的表現力」と聞いて、みなさんはどのようなことを思い浮かべられるでしょうか。「表現力」という言葉は馴染みのあるもので、音楽や絵画など芸術の分野でよく使われますし、フィギアスケートの選手はよく「表現力が素晴らしいですね」と褒め称えられます。そこで、「表現」と「数学」をくっつけて、「それは数学的表現に欠けるね」とか「キミは数学的表現力に優れているね」なんて言うと、なんとなくカッコいいですね。しかし、一般に「数学的表現力」なんて言葉を使うことはありそうにもなく、私自身、数学の授業にあたって「生徒に数学的表現力を身につけさせよう」とか、「数学的表現力を高める問題を作ろう」などと特に意識したことはありません。
 数学教育の世界において、表現力という見方が強調されるようになってきたのは最近のことのように思います。それというのも、「問題の解き方を覚えさせるだけではダメだ。数学を実生活で生かせるような数学教育を目指すべき。」という方向への合意ができてきたのではないでしょうか。公立高校の入試問題でも、「表現力」を意識した記述式の問題が増えてきているようです。
 また、学習指導要領では、中学数学の学習目標として、次のように記されています。

〈数学的な表現や処理の仕方を習得し、事象を数理的に考察し表現する能力を高める〉

 前半部分の〈数学的な表現や処理の仕方を習得〉は、教科書に載っている記号の使い方や問題の解き方を自分で書けるようにしようということでしょう。たとえば、中学1年で「比例」という単元があり、ここでは次のような問題があります。

【問題】y はx に比例し、x=3のときy=6となります。
このとき、x とy の関係を式に表しなさい。


この問題を教科書通りに解くと、次のようになります。

【解き方】y はx に比例するので、a を比例定数とすると、
x とy の関係はy=ax と表せる。
     この式にx=3、y=6を代入すると、
     6=a×3
     これを解くと、a=2
     よって、y=2x


 多くの生徒にとっては、こういう数学的な解き方がまどろっこしくメンドウに思えるものです。といいますのも、「6(y) は3(x) の2倍だからy=2x でOK」と答えは簡単に求められそうです。ただ、教科書には、「x とy の関係がy=ax で表されるとき、y はx に比例するという」と数学的表現が書かれていて、それを土台にした処理の仕方をするならば、上のような解き方が真っ当であるというわけです。私が中学1年生に数学を教えるときは、こういう解き方を書けるようにするだけで四苦八苦します。
 学習指導要領によれば、それに加えて、〈事象を数理的に考察し表現する能力を高める〉ように指導しようというわけです。あれもこれもと、教える方は大変です。この場合の〈事象〉というのは、たとえば、「石油ストーブを使ったときの灯油の減り方」のようなもので、それを〈数理的に考察する〉には「ちょっとずつ減っていくだろう」ではダメで、「ストーブの使用時間と灯油の減る量の関係」を表やグラフにして、その特徴からわかること、わからないことを見つけるわけです。それを〈表現する〉には、考察したことを整理して、他人が見てもわかるようにレポートに書いたり説明をします。結果、「灯油の減る量は使用時間に比例するのだな」と、生徒が「比例」に馴染むことができれば大成功。
 要は、「y がx に比例する」という表現をどれだけ身近な言葉や概念にできるか、ということが目標になるのでしょう。数学そのものが記号を使った表現ですから、表現力をともなわない数学なんてありえないともいえますが。
 このように言うは易しですが、行うは難し。次回のコラムでは、もっと具体的に数学的表現力を探ってみたいと思います。(つづく)



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