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教材出版 学林舎は学習教材の制作・販売、教育商材(理科実験工作教材・アメリカの教科書など)を取り扱っています。

○算数・数学から見えてくる世界 文/学林舎算数・数学顧問  深見 和孝


 「数学的表現力」とはどういうものなのか、う〜ん、難しいですね。とりあえず、ネットで「数学 / 表現力」と検索してみますと、数学的表現力の向上を目指した授業レポートがいろいろとでてきます。それらに目を通していきますと、式・図・言葉で説明できるようになることを目指しているようです。つまり、自分の考え方を他人に説明しよう!論理的でわかりやすい説明ができたら、それがキミの表現力さ!という感じです。
 青春もののマンガやドラマでは、成績優秀なイケメン高校生が、図書館で同級生の女の子に勉強を教えるシーンを見ます。「私のために○○君が勉強する時間がなくなってゴメンね。」「気にしなくていいんだよ。△△さんに教えると、自分の勉強にもなるからさ。」(古いですか?)
 この「自分の勉強にもなるからさ。」がミソで、誰かに問題の解き方を説明すると、あやふやだった部分がはっきりするようになったり、「これはそういうことだったのか。」と新たな発見をすることがあります。私自身、学生の頃は誰かに勉強を教えるようなタイプでなかったのですが、塾や学校で働くようになってからは、生徒の質問に答えることで様々な考え方や見方を身につけていたと思います。
 そういえば、高校で理系クラスの授業を担当すると、休憩時間に生徒どうしが教えている姿をよく見かけました。数学が得意だから表現力が身についているのか、数学的表現力が高いから成績優秀なのか。きっと、自分の学力に自信があるから堂々と説明できるのでしょう。間違うことを恐れない姿勢が、表現力を身につけさせているようです。逆に、問題の解き方はわかるけれど数学はワカラナイ、と言う生徒も多くいました。
 さて、ここで算数の問題をだしてみますので、みなさん、どんな説明ができるのか考えてみてください。

【問題】3m で6kg の鉄の棒があります。1m あたりの重さは何kg ですか。
 簡単な問題です。6 ÷3=2より、答えは2 kg。解き方としては6 ÷3=2という式があればOKですが、これだけでは納得できる説明とは言い難いです。
 では、1m あたりの重さを□kg とすると、□×3=6だから、□=6÷3=2(kg)
 教科書的に図に表すとどうでしょう?



 そういえば、以前、こんな解き方をする生徒がいました。



 このように、4つのマス目に数を入れて器用に答えを求めていたのですが、どうしてそうなるのか、その生徒は説明できませんでした。解けるけどワカラナイ、というわけです。
 数学では式や図で表現すれば事足りることが多く、式や図が簡便な解き方を導いてくれます。ただ、数学教育の目指す表現力には「言葉」が欠かせないと思うのです。言葉による説明こそが、数学的表現力のエンジンです。たとえば、先ほどの問題では、「1m あたりの重さを3倍すると、3m 分の重さがわかる」ということが大前提になります。そこで、「1m あたりの重さの3倍が3m分の重さ」→「3 m の重さの3分の1が1 m あたりの重さ」といった言葉を組み入れた説明が肝になるのではないでしょうか。

 言葉を使えてこその「数学的表現力」と、私は思うのです。(つづく)