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【GAKURINSHA TOPICS】学習教育の行き先 偏差値から見えるもの

 模試などで広く利用されている偏差値は、長年、日本の教育現場に大きな影響をおよぼしてきました。現在は推薦入試やAO入試など、学力のみに偏らない選抜方法も増え続けてきましたが、偏差値は学校の難度を示すのに大きな役割を果たしています。

■偏差値とは何か
 偏差値は、得点が受験者全体の平均からどれくらい離れているかを表すものであり、次の式で求めることができます。
偏差値=10×(個人の得点−平均点)÷ 標準偏差+50
*標準偏差とは分散の平方根のことで、分散とは各得点から平均点を引いて2乗したものの平均値です。

偏差値を使うことには、次のようなメリットがあります。
 
・複数回にわたる試験において、各回の難度に影響されずに成績を比較できる。

・各教科の難度に影響されずに成績を比較できる。

・結果の分布が*正規分布である場合、偏差値の値で全体の中での相対的な位置を表すことができる。(全体の何位か、おおよその順位がわかる。)*正規分布であるとは、得点分布のグラフが平均点を頂点とする山型になることをいいます。

 具体例を見てみましょう。A 〜 J の10 人の生徒が2回の試験を受けて、表@のような得点結果になりました。(単純化して、各点をとった生徒は1人とします。)各得点から平均点を引き(表A)、分散の値を出します(表B)。1回目の標準偏差は33.2、2回目の標準偏差は3.32 となります。これをもとに偏差値を算出すると、A の偏差値は1回目が65.1、2回目も65.1です。最低点のJ も2回とも34.9 で、どの生徒も1回目と2回目の偏差値は同じになります。つまり、偏差値が相対的な位置を表す値であることを示しています。

■偏差値が広まった背景
 偏差値が日本で一般的に使われ始めたのは1960 年代で、それまでの多くの学校ではテスト結果の分析を、ベテランの教諭による、いわば経験に頼っていました。東京の中学校の教諭が進路指導において、より客観的な成績判断基準の必要性に迫られた結果、今日、受験で使われるような偏差値を考案したのです。偏差値は予備校や模試実施会社によって採用され、急速に普及しました。その背景には、高度経済成長期に入り、進学率の上昇に伴う受験戦争の激化と、増加する浪人生対策への要請がありました。志望校のレベルが数値化され、受験生が自らの実力を判断する基準として偏差値が利用されました。また、受験生が増加するなか、当時普及しつつあったコンピューター技術の進展が膨大なデータ処理を可能にしたことも、偏差値の利用を広めた大きな一因でした。
 
■多様化する試験
 偏差値のみで人物を評価するような風潮や、偏差値ランキングによる学校の序列化などに対する批判意見がある一方で、推薦入試の拡充や、AO入試、特色入試などによって学力以外の要素を重視する入試も増えています。入試が多様化するなか、これからの偏差値の在り方も変化していくことでしょう。(文/学林舎編集部)

*参考文献
・多賀谷光男『偏差値に罪はない』四谷ラウンド、2000 年
・吉村功『平均 順位 偏差値』岩波ジュニア新書、1984 年
・中村高康『大衆化とメリトクラシー』東京大学出版会、2011 年



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