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○Cross Road 第62回 日本版NCAA構想 文/吉田 良治

 最近NCAAという言葉を目にする機会が増えてきました。今年4月にスポーツ庁がアメリカの大学スポーツにならい、日本の大学スポーツのビジネス化を図ろうとする、いわゆる日本版NCAAの創設の検討を始めました。NCAAとは全米大学体育協会のことで、アメリカの大学スポーツを統括する組織を意味します。全米の1,000を超す大学が参加し、24のスポーツ競技を運営しています。日本では各スポーツ競技ごとに運営団体が存在しますが、NCAAは一つの組織で大学スポーツの一元管理を行っています。
 今回スポーツ庁が日本版NCAA創設の検討をしている背景には、NCAAがテレビ放映で年間9億ドルを超える収益を上げ、一地方大学で約2億ドル近い収入を得る大学もあり、日本の大学スポーツもアメリカ並みのスポーツビジネスを展開できないか、ということで始まりました。
 日本政府はGDP600兆円を目標に掲げ、その中でスポーツ産業により平成27年度には年間5兆5,000億円、10年後には15兆円まで拡大させたいということです。そのためにプロスポーツだけでなく、アマチュアといえどアメリカの大学スポーツのように、プロを凌ぐ収入を上げることができるなら、日本の大学スポーツにも大きな期待が持たれると考えられています。また、全国各地に大学があることから、日本全国で大学スポーツが発展していくことで、地方創生の一助となることも期待されています。
 昨年はラグビーワールドカップで日本代表が大活躍し、トップリーグが大変注目されました。そして今年は新たにバスケットボールのプロリーグが発足、3年後にはラグビーのワールドカップが日本で開催され、そして4年後は東京でオリンピック・パラリンピックも開催されます。スポーツ界が活気を帯びている中、次に控えているのが大学スポーツのビジネス化ということになります。
 ここで一度立ち止まって考えるべきことがあります。それは大学スポーツの価値は何か、ということです。プロと同様にスポーツビジネスだけを考えるなら、何も大学でスポーツをしなくても、色々なスポーツ競技をプロ化すればいいわけです。大学スポーツの原則は課外活動の一環であり、本分は学業にあります。それが第一にあるから大学でするスポーツに価値があるのであって、ビジネス化だけを考えるなら、大学でスポーツをする意味はありません。
 アメリカの大学スポーツでは、スポーツに参加する学生に学業成績の機銃を設け、その基準をクリアできなければ、スポーツ活動への参加を禁止しています。100点満点に置き換えると、70点以上がスポーツ活動参加の対象となります。スタンフォード大学やカリフォルニア大学のように、世界的な大学ランキングでトップ10に入る大学において、学業を優先しながらオリンピックでメダリストを多数輩出する大学もあります。方や日本でスポーツ強豪校といえば、スポーツ競技で優秀であれば、学業が劣ってもスポーツ推薦で大学に入学でき、スポーツに没頭し大学の学業をおろそかにする環境が多く見受けられます。
 今回の日本版NCAAを考える上で、単にスポーツビジネスだけに目を向けるのではなく、これまで日本の大学スポーツで放置されてきた課題にも目を向けて、その改善を図ることが、日本の大学スポーツの価値を高めることにつながっていくのではないかと思います。朝日新聞や京都新聞で日本版NCAAに関する記事があり、そこで私のコメントを掲載していただきました。
 また今月は全国大学体育連合のシンポジウムで、日本版NCAAに関する講演をさせていただきます。国のスポーツ行政の目玉政策について、さらなる建設的な議論がなされることを願います。(つづく)

吉田良治さんBlog
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