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【GAKURINSHA TOPICS】教育の行き先−大学ランキングから見る日本の教育

 毎年、タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(以下THE)というイギリスの教育専門誌が、世界の大学ランキングを発表しています。アジアでは、日本の東京大学が2013 年の調査開始以来、3年連続の1位を保っていました。しかし、2016 年の発表では、シンガポール国立大学にその座を明け渡してしまいました。

■THE の評価基準
 THE の評価基準は「教育の質・学習環境」、「国際性」、「収入」、「研究の質」、「論文被引用数」の5分野に大別されます。「収入」や「研究の質」においては、東京大学はシンガポール国立大学に引けを取りません。それは、日本人のノーベル賞受賞者の数から考えても明らかです。その一方で、「国際性」において大きく引き離されていることが、ランキングを下げる大きな要因になったと分析されています。ここに、日本の大学が抱える弱点が見られます。

■東京大学の「国際化」のレベル
 東京大学では、留学生の数は全体の生徒数のおよそ3%ほどで、外国人教員数も全体のおよそ9%にとどまり、国際的とは言いがたい状況です。これに対し、シンガポール国立大学やランキングの上位に入った大学では、積極的に学生や教員の国際性を高め、ランキングを上げようとする戦略をとっています。
 このような状況を打破しようと、東京大学などでは、学生が海外と日本を行き来しやすくなる環境を整えようとする試みがなされています。また、交換留学プログラムや、海外の教育機関と共同で運営するプログラムを増やそうと考えています。このように、東京大学も国際化のレベルを上げようとしています。

■大学改革の影響
 上述のような大学の動きは、小学校、中学校、高校での英語授業の取り組みにも、確実に影響をおよぼしています。小学校からの英語学習の本格導入や、高校での英語による授業などが、その例として挙げられます。英語教育の比重は、今後ますます高くなることが予想されます。

■「グローバル人材」とは?
 近年の外国人観光客の増加などにより、日本でも日常生活において異文化に触れる機会が増えてきました。東京オリンピックを2020 年に控えていることからも、「グローバル人材を育てることが急務である」とよく言われます。
 では、「グローバル人材」とはどのような人を指すのでしょうか。それは、単に「ネイティブスピーカーと同じレベルで英語を使える人」ということではありません。「英語を使い、他国の文化や習慣を理解し、受容できる人」のことです。これは、英語を話す人々の文化に合わせきってしまうということではなく、日本人としての価値観・考え方をしっかり持ちながら、それらを有効活用することで、「日本人として」世界で活躍するということです。

■日本文化の発信
 東京都では、日本が世界へ発信する文化を子どもたちに教育するため、都立学校の学校設定教科として、「日本の伝統・文化」をカリキュラムに組み込んでいます。このことからもわかるように、「英語を習得すること」に拘泥してはならないのです。英語は、あくまで発信するための「道具」と考えるべきでしょう。子どもたちは、世界に発信する「中身」として、日本の伝統・文化をしっかり学び、日本人ならではの価値観を磨いていく必要があるのです。(文/学林舎編集部)