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教材出版 学林舎は学習教材の制作・販売、教育商材(理科実験工作教材・アメリカの教科書など)を取り扱っています。

【GAKURINSHA TOPICS】学習教育の行き先 教科書の価値を考える

 日本の小学校や中学校では、無償で配布された教科書を用いて、授業が行われます。しかし、授業では教科書以外の教材を使用することもあります。では、教科書は、そういった教材とどのような点でちがっているのでしょうか。教科書の位置づけや教科書検定のしくみ、教科書の供給について紹介します。

■教科書の位置づけ
 日本では、教科書は「教科書の発行に関する臨時措置法」の第2条において、以下のように定められています。「この法律において『教科書』とは、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校及びこれらに準ずる学校において、教育課程の構成に応じて組織排列された教科の主たる教材として、教授の用に供せられる児童又は生徒用図書であって、文部科学大臣の検定を経たもの又は文部科学省が著作の名義を有するものをいう。」つまり、教科書は学校で教科を学習する際に使用する、主たる教材として位置づけられているのです。
 また、学校教育法で、原則的に学校では、教科書を使用することが義務づけられています。日本の学校教育では、教育課程の基準として文部科学省が学習指導要領を定めており、教科書はこの学習指導要領に示された教科、科目などに応じて作成されています。このため、教科書を使用して授業を行うことで、基礎的・基本的な内容の学習が保障され、全国的な教育水準の維持向上が期待できます。

■教科書検定制度
 教科書のほとんどが、民間の教科書会社によって、学習指導要領に基づいて著作・編集されています。民間の教科書会社が作成した教科書は、学習指導要領の内容に合っているか、政治や宗教の扱いについて中立か、事実関係は正確か、などの観点から、審議会によって記述が適切かどうかを審議されます。審議の結果に基づき、文部科学大臣が教科書として適切かどうかを審査し、合格したものが教科書として発行されます。このような検定制度をとることで、民間の教科書会社の創意工夫が教科書に反映されるとともに、公正で客観的であり、適切な表現がなされた教科書を発行することができるのです。

■教科書の発行・供給
 義務教育である小学校や中学校で使用される教科書は、全教科について、国の負担によって無償で給与されています。平成27 年度の児童生徒1人あたりの教科書費の平均金額は、小学校では3393 円、中学校では4919 円で、平成27 年度の無償給与に関する予算額は約412 億円でした。
 また、使用される教科書は、公立の学校では所轄の教育委員会が、国立・私立の学校では学校長が採択の権限を持っています。公立の学校では、各教育委員会が採択地区ごとに、各教科1種類の教科書を採択します。つまり、同じ採択地区であれば、学校がちがっても教科書は同じ種類のものを使用することになり、教員1 人1 人には、教科書を採択する権限はありません。
各学校では、教員の工夫により教科書以外の教材を使用することも認められており、教育の水準を保ちつつ、創意工夫のある学習指導を進めることができます。
 当たり前のように配布され、使用されている教科書ですが、もし教科書がなかったらどうなるのでしょうか。指導方針や指導内容が各教員にゆだねられるため、教員の経験や能力によって、教育の質が左右されることが考えられます。また、政治や宗教についての扱いに偏りが出る可能性もあります。さらに、教科書という主たる教材がなくなることで、授業を進める教員の負担が大きくなることも考えられます。このように、教科書は、日本の学校教育の水準を保つために、非常に大きな役割を担っていることがわかります。(文/学林舎編集部)