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○Cross Road 第64回 世界ランキングから見えてくる大学の役割 文/吉田 良治

 昨今日本の大学の世界的評価が低下していることから、世界大学ランキングの発表がある時期がくると、日本の大学は世界からどう評価されているのか、国民の注目が集まります。日本では比較的学力が高い学生が学ぶ大学、特に東京大学や京都大学といった国立の超難関大学でも、ここ2年ほどは世界だけでなく、アジアの大学ランキングでも評価を下げる傾向にあります。
 日本では偏差値によるランキングはありますが、海外ではどのようなランキングがあり、どのように評価をしているのか?、一般的によく耳にするのはイギリス・タイムズ紙の世界大学ランキングTimes Higher Education(THE)があります。このランキングは主に教育と研究の総合評価がされており、大きく分けると教員一人当たりに対する学生数(学部生及び博士号数)や教員としての評価など5部門の「教育」、学術論文の引用数による評価の「論文被引用数」、教員の研究費や論文数など3部門の評価の「研究の質」、外国人の教員や学生数といった2部門の「国際性(教員と学生)」、そして教員一人当たりの産学連系による収入の「産学連携」の5部門で13の詳細がその評価対象となります。



 もう一つ日本でよく報道される世界大学ランキングで、中国の上海交通大学の世界大学学術ランキングAcademicRanking of World Universities (ARWU)があります。こちらのランキングは主に大学の研究機関として評価をする傾向が高く、卒業生や研究者によるノーベル賞など各種表彰数、引用率の高い研究の評価、ネイチャー誌やサイエンス誌などへの論文数、そして論文の引用数など5部門の評価でランキング付けされます。



 世界から見る日本の大学の評価として、大学の総合評価より、研究機関としての評価が高いことが見て取れます。上海交通大学の世界大学学術ランキングにおいても、トップ20位以内は依然として、欧米の大学の高い壁が存在していますが、100位以内の数はタイムズ紙のランキングの倍に当たる4大学、200位以内がタイムズ紙のランキングが0大学に対し、上海交通大学のランキングでは2大学がランキング入りしています。特筆すべきは名古屋大学で、タイムズ紙のランキングでは、世界301-350位に対し、上海交通大学のランキングでは、世界72位と研究機関としての評価が高いことがうかがえます。


 しかし近年大学の研究費獲得能力の低下や、次世代の研究者育成の整備が進んでいないこと、そして日本人を含む優秀な研究者は、海外の研究機関から高額年俸での引き抜きがあるなど、今後日本の大学は研究機関として、その質の維持・向上が大きな課題といえます。
 また少子高齢化が進み、大学進学世代が減少し続ける日本では、大学が学生を確保する上でも、海外からの留学生の獲得は大変重要です。日本の受験生は単純に偏差値だけで進学先を判断しますが、海外ではこれら大学を評価する総合的なランキングをもとにして進学先を考えます。となると世界での大学評価を高めることも、日本の大学の将来にとって大変重要といえます。(つづく)


吉田 良治プロフィール
 1962年生まれ。1998年にワシントン大学へアメリカンフットボールコーチ留学。2000年リーグ制覇、2001年ローズボウルに出場し、ローズボウル制覇に貢献。国家レベルのリーダーシップ教育に貢献した、ランブライト元ワシントン大学ヘッドコーチよりリーダーシップ教育を学ぶ。
 全米の大学で人格形成プログラム普及に貢献した、ライス元ジョージア工科大学体育局長よりライフスキル教育を学ぶ。

吉田良治さんBlog
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