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○Cross Road 第53回 アスリートのセカンドキャリア 文/吉田 良治

 新しい年2016年の1月も半分が過ぎました。今年は4年に一度(夏季)オリンピックイヤー、ブラジル・リオで五輪・パラリンピックが開催されます。お正月もオリンピックに関連する競技を中心に、たくさんのスポーツイベントが開催されました。昨年はラグビーワールドカップで日本代表が強豪南アフリカに勝利する快挙を成し遂げ、オリンピック競技(7人制)にも採用されていることもあり、ラグビーブームの再炎が巻き起こりました。日本のスポーツ界は4年後の東京大会に向け、より一層強化に力を注いでいきます。
 そこで一つ忘れてはいけないことはアスリートのセカンドキャリアです。近年日本でもアスリートの引退後の人生について取り上げることが増えてきました。毎年、年末になるとTBS系で『プロ野球戦力外通告 クビを宣告された男達』という番組が放送されます。所属していた球団から戦力外通告を受けたプロ野球選手が、引退か再起を図るのかを選択するエピソードを紹介しています。秋に行われるドラフト会議で輝かしいプロ野球の世界の入口の裏には、この世界を去る出口があります。プロ野球では1球団に所属できる選手枠は限られているので、ドラフト指名を受けプロの道に進む者の数だけ、この世界を去る者がいるのです。ある者は合同トライアウトを受け、ある者は引退し野球の指導者(プロ・アマ)や球団職員、そして解説者など何らかの形で野球界に残ることを模索、そしてある者は芸能界への転身を考えます。しかしこれらの職業の多くは、限られた一部の者にしか枠がありませんので、多くは他業種へ進むことになります。また、プロ野球選手にすら進めなかった大多数は、当然一生野球で人生を全うすることはありません。スポーツ選手の多くはそれがプロ・アマチュアに関わらず、多くは20代~30代で競技生活から引退をしていきます。
 プロアスリートでも一般の社会人に比べると、半分以下の期間での引退となり、人生の半分以上の残りの人生を支えるため、職を得なければなりません。
 近年一般職の分野の新卒採用においても、即戦力を求める傾向が高まっており、これまで体育会系と言われ企業から重宝されたアスリートも、未経験の分野への転身はそう簡単ではありません。野球で例えると野球未経験者をドラフト指名するプロ野球球団が無いように、一般的な仕事においても企業が給料を支払い、一から未経験者に手とり足取り仕事を教えることは、今後どんどん減っていくことになります。これまで日本ではスポーツさえできれば、学業を疎かにしても許されてきました。しかし、厳しい国際競争にさらされている日本の企業は、「ただ体力があり根性があるから体育会系を採用する」ということはなくなっていきます。その時、自分はスポーツのことしかわからない!では、せっかく頑張ってきた競技経験が無駄になります。
 昨年阪神タイガースを退団したマット・マートン選手と以前対談したことがあり、アスリートのセカンドキャリアについても取り上げました。マートン選手も『全てのアスリートがスポーツで成功するわけではない。競技引退後に備え、自分のセカンドキャリアのベースを学生時代に養うことが重要』とアメリカの大学スポーツで取り組むライフスキルの取り組みについて、自身の経験談を語っていました。彼もこのままプロ野球から去るとなれば、大学に戻り別の分野での再スタートに備えることになります。ラグビー日本代表の筑波大学4年生福岡堅樹選手は、引退後医師を目指すということです。子どものころからしっかり学業と向き合ってこなければ、大人になってからの選択肢は狭まります。スポーツのために学業を犠牲にせず文武両道を全うする。どちらも才能を発揮できる取り組みとして、日本でもアスリートサポートとして、ライフスキルプログラムの充実が求められます。(つづく)


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