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【GAKURINSHA TOPICS】 英語教育の行き先 文部科学省が考える英語教育

 日本では、日常生活で英語を使う機会があまりありません。その上、学校での英語の授業は教師が生徒たちに一方的に知識を与える講義型が主流となっています。そのため、生徒たちが主体的に英語を使用する機会を十分に得られず、英語を習得できていない、という反省がありました。そこで今、生徒たちが授業中に大量の英語にふれ、実際に使う機会を増やす取り組み(英語で授業を行う)がなされています。
 文部科学省では小・中・高等学校を通じた英語教育の改善、生徒の英語力向上を図るため、2013 年に「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」を設定しました。これは、2020 年開催予定の東京オリンピック・パラリンピックを見据えたもので、児童生徒が訪日外国人に英語で日本文化を発信し、国際交流やボランティア活動などに積極的に取り組むようになること、また、日本の伝統文化や歴史を知るなどの日本人としてのアイデンティティを持たせる教育の拡充を目標としています。つまり、自国を世界に向けて発信できる人材を育成することが狙いといえるでしょう。具体的には高校卒業段階で、英検であれば2級〜準1級取得、TOEFL iBT であれば57 点以上得点と設定されています。
 この目標を達成するため、小学校中学年では、学級担任を中心にコミュニケーション能力の素地を養う指導(週1〜2コマ)、高学年では、専科の教員を積極的に活用しながら、初歩的な英語の運用力を養う教科型の指導(週3コマ)を行う方針です。中学校以上では授業を英語で行って身近な話題を表現できる能力を伸ばし、高等学校では発表、討論、交渉など、英語話者とある程度流暢にやりとりができる能力を養うことが定められました。生徒側だけでなく、教師側や指導体制についても、小・中・高等学校において教員の英語力向上、外部人材(ALT)の活用促進、指導用教材の開発推進など、整備が進められています。
 2014 年に高校3年生を対象に行われた「英語力調査」の結果、「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能すべてで課題が見つかりました。特に「話す」と「書く」、また、「聞いたり読んだりしたことに基づく意見交換や書く活動」のように複数の技能を組み合わせた活動で生徒のつまずきが見られました。中学・高等学校の生徒の英語力に関するアンケート結果でも、英検上級取得者の数はこの3〜4年間ほぼ横ばいです。
 この現状を踏まえ、文部科学省は2015 年、「生徒の英語力向上推進プラン」を策定しました。その基本的な考え方は、国および都道府県が明確な達成目標(GOAL)を設定することと、その達成状況を毎年公表して計画的に改善を推進することの2点です。これにより、各都道府県での英語指導が大きく見直されると予想されます。さらに、中学校では英語4技能を測定する全国的な学力調査を、2019 年度より国が実施することが予定されています。また、「高大接続改革実行プラン」に基づき、英語4技能による新テスト「高等学校基礎学力テスト(仮称)」「大学入学希望者評価テスト(仮称)」の導入も検討されています。民間の資格・検定試験の活用も、引き続いて推進していく方針です。
 これらの指針に基づき、中央教育審議会では、次期学習指導要領を通し、授業や入試の改革に着手しています。インタビュー形式のテストや英語による小論文など、英語でのアウトプットが重視される傾向になると予想されます。学習者には、自ら課題を見つけ、自ら解決していくという主体的な学習の姿勢が、今よりも強く求められるでしょう。教師側も、小・中・高等学校を通じた目標設定や、それに基づく指導の体系化、4技能の習得を評価する基準など、整備しなければならない問題が山積しています。教師が英語で授業を行う必要性からも、今まで以上に高い意識と学習意欲が必要とされるでしょう。世界で通用するグローバルな人材育成のため、さらなる取り組みが求められています。(文/学林舎編集部)

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