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○国語を考えてみる ああ、素晴らしき哉、日本語㉒ 文/学林舎国語顧問  森本 秀俊

 これまで2回にわたって、表現力の養成について書いてきました。表現力をつけるのに何よりも大切なことは、文を書くということです。ところが、たいていの子どもは文を書くという作業が嫌いです。読書感想文や人権作文といった課題が夏休みの最後の日までできずにいるお子さんも多いことと思います。そこで今回は、子どもに文を書く気にさせる2つの方法について見ていきましょう。

 1つ目の方法は、「ファミリー新聞」です。これは、その名の通り、家族で新聞を作ることです。「家族旅行」「家族のイベント」「子どもの学校生活」「飼っているペット」など、いくつかの話題を集めて新聞を作り、おじいちゃんやおばあちゃん、親戚などに配るというものです。
 たとえば、たかしくんという子どもが家族で北海道に旅行に行くとします。お母さんが旅行前にたかしくんにこのように話します。

 「今度の旅行のことをファミリー新聞に載せるから、たかしは牧場を見学したときの記事を書いてね。お母さんの携帯電話で写真を撮ってもいいから」

 すると、たかしくんは、記事を書くために牧場をつぶさに観察するはずです。記事を書くという目的がないと、ぼぉーと見ていることも、自分が記者になったという使命感で、集中して見つめることでしょう。

 「牧場には、たくさんの馬がいました。たいていの馬は茶色い毛をしていましたが、中に雪のように真っ白の馬が一頭いました。その馬は、昔、競走馬として大活躍したということです。……」

 このような文章に自分の写した写真を添えて記事にすると、子どもの達成感は大きく、文を書くということに興味を持つに違いありません。

 もう1つの方法は「空想日記」というものです。ふつうに「日記を書きなさい」と言っても、子どもはすぐにあきて、それこそ3日坊主で終わってしまうでしょう。
 それは、毎日の生活の中で起こることはドラマチックではなく、日記を書いても楽しくないからです。そこで、子どもに次のような提案をします。
「あなたがアイドル歌手だと想像して、日記を書いてみて。きっとおもしろいことが書けるわよ」
 もちろんアイドル歌手に限らず、「プロ野球選手」「俳優」「忍者」「ドラえもん」など、なんだっていいのです。子どもが興味を示すような対象を提案して、その人になりきって日記を書かせます。

 「1月1日 晴れ 今日は東京ドームでカウントダウンコンサートをしました。7万人をこえるファンが集まってくれてすごく盛り上がりました。私がテン・ナイン・エイト・セブン…とカウントダウンをしていくと、会場のみんなも大きな声で叫び始め、ドームにいるみんなの気持ちが一つになりました。……」

 このような日記なら、楽しくて長く続く気がしませんか? 子どもに文を書かせるうえで、注意すべきことを1つ。子どもの書いた文をけなしたり、注意を加えたりしないことです。自分の書いた文に文句を言われれば、子どもは文を書くことが大嫌いになります。どんなにつたない文章でも、「表現がユニークでおもしろいわね」などとほめてあげましょう。

 ああ、素晴らしき哉、日本語。(つづく)