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○Cross Road 第54回 受験シーズン 文/吉田 良治

 近年大学受験では推薦入試やAO入試など、いわゆる一般的な入学試験を免除した、多様な入試を実施することにより、一般的な入学試験での受験数が減少しています。2014年に大手予備校の代々木ゼミナールが、全国にある約7割の予備校を閉鎖するに至った背景も、少子化による大学進学世代の減少だけでなく、予備校活用の大きな要素でもある、一般的な大学試験での受験者数の減少が大きいと思います。とはいえ、1月の大学入試センター試験に始まり、2月上旬には私立大学の一般入試、2月後半から3月にかけて国公立大学の2次試験も実施され、今年も本格的な大学入試シーズンとなりました。
 注目されるのが国立大学で推薦入学を実施する大学が増えて、今年は東京大学でも初の推薦入学が実施されました。推薦入学枠は10学部で約100名程度ということですので、まだまだこの入試制度が主流になることはありませんが、今後国立大学だけでなく私立大学も含め、学力の点数のみで入試の合否を測るのではなく、総合的な判定基準を確立することが加速していきます。
 今回の東京大学の推薦入試の選考内容は、一次審査の書類選考や面接、そしてセンター試験を経てということですので、全くの無試験ということではないにしても、これまでのような大学ごとに実施されてきた2次試験が、実質的に免除されるということになります。書類選考では「総合的学習時間の成果」、「語学堪能、国際的なプログラム活動の実績」、「社会貢献活動」、「国内外の数学・科学・物理・化学・生物オリンピックで顕著な成績」、「特色ある高度な研究活動・創造活動」等、具体的な活動実績も問われますので、これまでのようなテストの点数至上主義では、書類選考でふるい落とされてしまいます。また、面接で人物面も精査されます。理学部の推薦要件に、「芸術・文化,スポーツなどでの意欲的な活動やリーダーシップを発揮した実績も評価に加味します。(実績の例:在任中に顕著な活動を行った生徒会会長,全国大会レベルでの入賞を果たした部やクラブで主導的な役割を果たしたものなど)」という項目がありました。東京大学の入試がここまで多様な要素を盛り込んでくるということは、高校3年間机にしがみついて受験勉強に打ち込むことでは対応できないことを意味し、これまでの大学入試の在り方そのものを根底から覆すことになります。
 少子化で大型予備校もその役割を終え、国立大学ですら推薦入学を実施し、多様性も問い始めたということは、これまで○○大学進学率No1!といった中高一貫校なども、これまでの難関大学入試対応ではなく、これからは新たな受験仕様に対応していくことが求められます。最後にスポーツに絡めた話をするならば、今回の東京大学の推薦入学で理学部の推薦要件にある、“スポーツでの顕著な実績あるもの”が日本でも増えていけば、ノーベル賞のメダルとオリンピックメダル、どちらでも可能性を秘めた人材を輩出できることになります。日本ではどちらか一つしかできない、と諦めがちですが、アメリカではそれが当たり前とされていますので、今回の東京大学の推薦入学には、どちらも同時にチャレンジする人材育成に期待していけるのではないでしょうか。(つづく)

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