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教材出版 学林舎は学習教材の制作・販売、教育商材(理科実験工作教材・アメリカの教科書など)を取り扱っています。

【GAKURINSHA TOPICS】 社会現場から 企業による教育支援

 学校教育と企業との接点としては、これまで社会科見学での工場見学や、職場体験などが広く行われてきました。近年、ここに「キャリア教育」という要素が加わり、総合的な学習の時間などを活用して企業による出張授業を実施する学校が増加しています。
 キャリア教育とは、「一人一人が『生きる力』を身につけ、しっかりとした勤労観・職業観を形成し、将来直面するであろう様々な課題に対応しつつ社会人・職業人として自立していくことができるようにする」ための教育とされています。日本において「キャリア教育」の必要性が提唱され始めるきっかけとなったのは、平成11 年12 月の中央教育審議会答申「初等中等教育と高等教育との接続の改善について」でした。
 「キャリア教育の実施に当たっては、各学校ごとに目的を設定し、教育課程に位置付けて計画的に行う必要がある」と提言しました。
 経済産業省も次世代を担う人材育成に産学協働で取り組むため、キャリア教育を推進しています。産業界による優れた教育支援活動を奨励・普及・促進することを目的として、企業や経済団体による教育支援の取り組みを公募し、平成22 年度より「キャリア教育アワード」として、優秀な事例を表彰しています。
 このような国の動きに対し、日本経済団体連合会は企業の教育支援プログラムポータルサイトを開設しました。環境教育、キャリア・職業教育、理科教育(理科実験・科学技術体験)、食育、金融・保険・経済教育、英語教育など12 のジャンルに分けてプログラムを紹介しています。
 例えば、キッコーマン株式会社は小学生を対象とした出前授業「キッコーマンしょうゆ塾」を実施しています。原材料の大豆・小麦・塩からどのようにしょうゆが作られるのかを教えるだけでなく、しょうゆ粕の処理についての解説を通して環境問題についても考えます。しょうゆについて学びながら、「食べ物」の大切さを考える機会として、総合学習・国語・家庭科・理科・社会などに関連させた授業を提供しています。同社は社会的責任の一環として食育を掲げていますが、子どもたちに商品に触れてもらうことで同社の「ファン」を増やし、好感度の向上にも役立てたい、という狙いもあるようです。
 また、積水化学工業株式会社では「理科教室」として、中学校を主な対象に出前授業を行っています。オリジナル実験キットを使って消化酵素のはたらきと吸収のしくみについて確認したり、からだのしくみを利用して検査薬と装置の研究開発を行っていることを説明したりします。また、講師である社員が、研究者としての立場から科学者になるためのアドバイスをすることもあります。生活に身近な科学に触れることによって、理科離れに歯止めをかけ、将来の人材育成につなげたいという考えがあるようです。
 企業イメージの向上、次世代育成を通した社会的責任という目的以外にも、企業にとっては授業を通して社員が自社の社会的役割を再認識し、モチベーションの向上につながる、というメリットもあります。
 出前授業を受け入れる学校としては、実際に働く人から話を聞くことによって、児童・生徒たちのキャリア形成のきっかけになる、最新の知識に触れる機会を得られることや、学校にない機材を使った実験ができることなどの利点があります。
 大企業だけでなく、地域の中小企業による協力も広がっています。企業と学校をつなぐコーディネーター役のNPO 団体も増加し、中小企業と学校の懸け橋になっています。教育支援は大企業だけではなく、社会全体での次世代育成の取り組みに成長しつつあります。(文/ 学林舎編集部)