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教材出版 学林舎は学習教材の制作・販売、教育商材(理科実験工作教材・アメリカの教科書など)を取り扱っています。

【GAKURINSHA TOPICS】 教育現場の行き先 高大接続がもたらすもの

 グローバル化や少子化が進む現代の日本では、子どもたちはこれまでと違う新たな多様性をもち、主体的に生きていく力を身につけることが必要だと考えられています。文部科学省は、「知識・技能」「思考力・ 判断力・表現力」「主体性・多様性・協働性」の3つを「学力の3要素」と位置づけ、これが今の子どもたちに必要な能力であるとしています。小学校・中学校では「学力の3要素」を学ばせる取り組みが進み、2012 年のPISA( 生徒の学習到達度調査) では、日本の子どもたちが国際的にも高い水準を示したことから、この取り組みは一定の成果が出ているといえます。
 しかし、その後に続く、高等学校教育と大学教育、この2つを結ぶ大学入学者選抜を見てみると、「学力の3要素」が、評価や選抜に生かされているとは言い難い状況にあります。現在の大学入学者選抜は、知識の暗記や反復といったパターン学習ができているか、もしくはその反対に自己表現ができれば、知識などはあまり問わないとするといった極端な状況が見受けられ、「学力の3要素」が選抜に生かされていないという指摘があります。中学生の約99%が高等学校へ進学し、高等学校は大学入学者選抜を見すえた指導を行うことが多い現状があることから、高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の3つが一体化して、「学力の3要素」を評価するしくみに改革していく必要があると考えられています。この改革を高大接続システム改革といいます。
 どのようにすれば「学力の3要素」を正確に評価できるかについては何年も議論されてきましたが、2016年3月に文部科学省高大接続システム改革会議プロジェクトチームより最終報告が出されました。この報告より、大まかな内容をまとめます。

□高等学校教育改革
 次期の学習指導要領の改訂では、子どもたちに必要な資質や能力が何かを考え、現在の教科や科目の見直し(公民科で社会参画をはぐくむ「公共」を必修として新設するなど)を行ったり、教員の指導力向上と合わせて子どもを多面的に評価することを推進したりといった改革が予定されています。また、「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を導入し、「学力の3要素」をうまく評価する方法が考えられています。しかし、具体的な内容については、現在も中央教育審議会で継続して審議中です。

□大学教育改革
 各大学は、それぞれが次のような3つのポリシーを定め、公表することになります。

@カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施の方針)
 教育内容とその成果の評価を明確にする。

Aディプロマ・ポリシー(卒業認定・学位授与の方針)
 どのような能力を身につけたら卒業・学位授与となるのかを明確にする。

Bアドミッション・ポリシー(入学者受け入れの方針)

 @とAの方針の上で、「学力の3要素」を大学入学者選抜でどのように評価するかを明確にする。
 この3つを公表することにより、大学がどのような人を育てようとしているのかがわかり、子どもたちが自分の生き方に合った大学を選ぶことができると考えられています。

□大学入学者選抜改革
 各大学は、アドミッション・ポリシーに基づいてどのような方法で入学者受け入れを行うかを決定し公表します。これに合わせて、各大学の個別選抜も改革を進めることとなっています。その一方で、共通の「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」が実施される予定です。これは、「思考力・判断力・表現力」を中心に子どもたちを公平に評価するもので、教科や科目の知識の暗記などではなく、大学教育を受けるのに必要な知識と理解をもった上でさまざまな問題を自ら見つけて考え、解決していく判断力を重視するものになる予定です。具体的には、条件を与えた文章記述問題や、正解数を明示しない複数記号選択問題などが考えられています。
 これら一連の高大接続システム改革は、高等学校教育改革については「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を2023 年度からの完全実施(2019 年度より仮実施)予定、大学教育改革については2017 年度より可能な限り早くポリシーの公表や実施をすること、大学入学者選抜改革については2020 年度より仮実施を行った上で、平成2024 年からは新学習指導要領に対応した完全実施が予定されています。(文/ 学林舎編集部)