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Cross Road 第57回 人生を豊かにしていくために 文/吉田 良治

 昨年から日本のスポーツ界ではよくない出来事が続いています。2020年東京五輪・パラリンピックに向けて日本のスポーツ界で今求められるものは、まさにスポーツマンシップの正しい理解と実践にあるといえます。
 スポーツ界のみならず企業の不祥事、特に大手企業の名前を使って、さまざまな偽装行為で消費者を欺く事件が絶えません。スポーツの世界に見られる不祥事も、社会でおこっていることを映し出しています。社会においてスポーツマンシップに当たるシチズンシップもまた同様に重要になります。コンプライアンス(法令厳守)という言葉も、日本では一般的に浸透している中、最も法律を尊重し活動すべき機関が法律違反をすることは、スポーツ界の不祥事と同様社会全体に悪影響をもたらします。
 スポーツマンシップの大前提はROOTSにあります。Rは競技のルール(Rule)を守ること、社会においては法律を守ること(コンプライアンスの徹底)を意味します。Oは審判(Official)の判定に従うことを意味し、社会では警察ということになりますが、もう少し狭い範囲になると、例えば会社の先輩や上司、家庭では親、学校では教師にあたります。もう一つのOは対戦相手(Opponent)を尊重することで、社会では例えば取引先、家庭や学校ではご近所の地域社会を意味します。Tは仲間(Team)を大切にすること意味し、会社では全ての職場の仲間たち、家庭では家族、そして学校では全校生徒や教職員を意味します。そして最後のSは自分自身(Self)を尊重することです。これらROOTSに敬意を払うことがスポーツマンシップの意味で、その実践をすることがスポーツマンの務めとなります。勝つか負けるかといった結果は、自分の力だけでは何ともなりませんが、スポーツマンシップをもとに取り組むかどうかは、自分自身で決め行うことができます。社会におけるシチズンシップもまた同様に、そこで営まれる行為に対する結果(企業の業績など)は、自分自身の力だけではどうにもならないことも多々あり
ます。しかし、シチズンシップをもとに正しい行いをすることは、全ての人に求められ、それを実践することができます。アスリートが正しくスポーツマンシップを理解し、それを実践することは、そっくりそのまま社会生活に生かすだけで、立派な社会人としてのシチズンシップを社会に示す、模範となる生き方ができるのです。
 5年前の東日本大震災の復興もまだまだ道半ばの今、今年4月には熊本で大きな震災が起こり、甚大な被害が出ています。被災地を支援するためのボランティア活動などの社会貢献は、社会におけるシチズンシップを発揮する上で、もっとも意味ある活動となります。今月15日の朝日新聞朝刊でスポーツ界の熊本震災支援の特集記事が掲載され、そこで少し私のコメントを取り上げていただきました。

・5月15日の朝日新聞朝刊
 http://www.asahi.com/articles/ASJ5D4CQWJ5DUTQP015.html

 紙面の関係で詳しい事例を紹介できませんでしたが、アメリカでは毎年のように巨大竜巻やハリケーンにより、家を失う人や亡くなる人が多数おられます。突然やってくる自然災害以外でも、アメリカの日常の社会生活で起こる問題、例えば貧困と教育格差の拡大といった社会問題も深刻です。日頃から見過ごしがちな社会の問題に向き合い、自ら行動を起していくことは、シチズンシップを発揮する絶好の機会です。2005年ハリケーン・カトリーナでアメリカ南部は甚大な被害を受けました。その時全米から約1,000名の大学アスリートたちが立ち上がり、約20件の家を建てて被災地に送りました。また、大きな災害が起こったときだけでなく、日頃から文武両道を実践し、年間数百から千時間ものボランティア活動をし、地域社会を豊かにしようとする学生アスリートが数多くいます。日頃からシチズンシップを発揮する機会を見つけ、自ら行動していくことが、豊かな社会生活を実現するために必要な教養を養う近道となります。(つづく)

吉田良治さんBlog
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