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教材出版 学林舎は学習教材の制作・販売、教育商材(理科実験工作教材・アメリカの教科書など)を取り扱っています。

【GAKURINSHA TOPICS】学習現場の行き先 加速化する学校と塾の連携

 文部科学省は、2013 年11 月に学校教育法施行規則を改正し、学校と地域や企業などが連携して行う土曜日の教育活動を推進しました。これにより、全国で公立の学校と学習塾の連携が加速しています。現在では、学習塾に要請して、放課後や土曜日に任意参加の補習を行う学校が多いようですが、児童や生徒全員が受ける日々の授業に、学習塾の教材や指導を取り入れる学校も出てきているようです。

□学校が学習塾と連携する理由

 ゆとり教育によって、学習塾に通っている子どもと通っていない子どもとの間に学力の格差が生まれました。2007 年から実施されている全国学力・学習状況調査で学力の二極化が顕著に現れ、学力の底上げを求められた自治体が、学習塾との連携をはかる動きを見せ始めました。学力の二極化は経済格差も関係しており、経済的な理由で学習塾に通うことができない子どもにも学習の機会を同じように与えることで、学力の向上をはかろうとしています。
 また、保護者から学力向上への強い要望があっても、学校の教員は業務量が多く補習授業まで面倒を見ることができないという問題がありました。それを解消する策として、学習塾と連携して補習授業を行う動きが見られるようになりました。

□学校と学習塾の連携事例

・大阪府大東市では、2010 年から公益社団法人全国学習塾協会と連携して「学力向上ゼミ」という授業を行っています。毎週土曜日に、協会に所属している学習塾から派遣された講師が、小学4 年生〜 6 年生には算数の授業を、中学1年生〜 3 年生には数学と英語の授業を、いずれも希望者を対象に行っています。運営費は市が補助しており、小学生は月に1000 円、中学生は月に2000 円と、学習塾に通うよりも安い金額で授業を受けることができます。生活保護などを受けている場合は全額免除となっており、経済的な理由で学習塾に通うことができない子どもにも学習の機会を与えています。

・佐賀県武雄市では、2015 年から花まる学習会( 幼児から小学生を対象とした学習塾) と連携して、小学生を対象に始業前の15 分間に「花まるタイム」という取り組みを行っています。花まるタイムとは毎週月曜日・火曜日・木曜日・金曜日に、担任の先生が音読、ブロック、計算、書写など4種類の塾教材を使って行うモジュール授業で、学習の基礎を反復する時間です。花まるタイムの特徴は、全員が問題を解き終わるまでは待たず、テンポとリズムを重視して授業を行うことです。花まるタイムは学力向上ゼミとは異なり、児童全員が対象になっています。
 学校と学習塾が連携することによって、学校では省略してしまう学習内容もしっかり教えることができ、学習塾が学校の学習を補完することができています。また、学習塾の行う授業は、無償または廉価なものが多く、経済格差による学力の二極化を解消するという利点もあります。しかし、専門家の間では、学習塾が学校の指導にふみこみすぎないよう、学校側が主体性を保つ必要があるという意見も出ています。また、都市部と地方では学習塾の数が大きく異なるため、地域による格差は拡大していくのではないかという懸念の声もあります。学習塾側には、学校側の指導方針と齟齬が出ないように、うまく調整していくことが求められています。
(文/ 学林舎編集部)