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【GAKURINSHA TOPICS】学習教育の行き先 留学の意味と価値

 近年、様々な分野でグローバル化が進んできています。それに合わせて日本でも、政府や民間企業の主導のもと、世界を舞台に活躍する人材の育成を目指して多種多様な取り組み・支援がされています。その一つが、日本から海外への留学促進です。しかし、2004 年の約8.3 万人をピークに、日本からの海外留学生は年々減少しています。なぜ、このようなことが起きているのでしょうか。
 日本の国立大学を対象に実施された留学制度に関するアンケートによると、大学生が留学をためらう要因として一番大きなものは、「帰国後、留年する可能性が大きい」という、進路についての不安でした。次いで、経済的な不安、「大学全体としてのバックアップの不備」などの大学の体制への不安が見られました。さらに、文部科学省が実施した、高等学校等の国際交流に関する調査によると、留学したいと考えている高校生の割合は全体の約42% で、残りの、留学したくないと考えている高校生の不安要素として、「言葉の壁」が挙げられていました。
 このような現状を受けて、各機関で新たな取り組みが行われています。文部科学省は、2020 年までに日本からの海外留学生を倍増させることを目指す「第2期教育振興基本計画」を掲げています。留学生の経済的負担を軽減するための寄付促進や、就職・採用活動開始時期を変更し、留学しやすい環境を整備する、といった内容のものです。さらに具体的な対策として、文部科学省は「トビタテ!留学JAPAN」という留学促進キャンペーンを開始しました。その中で、2020 年までに約1万人の高校生、大学生を派遣留学生として送り出す計画「官民協働海外留学支援制度〜トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム〜」を発表しています。この計画では、手厚い奨学金が用意されており、留学への不安要素の一つである経済的不安を解消するものになっています。また、留学前の研修が充実しているので、「言葉の壁」などの不安も緩和されると考えられます。
 ところで、実際に留学を経験した学生たちは、どのような意義を見出しているのでしょうか。留学を決めたきっかけは各々異なるものの、「日本にいたままでは出会えない人に会えた」、「日本では気づかなかった海外との違いを知ることができた」など、新しい経験・発見ができたという意見がありました。また、留学生活で「積極性、ものごとを自力で解決する力を身につけられた」という意見もありました。これらのことから、留学を経験した学生たちは、大きな留学の成果を得ていることがわかります。
 では、そのような学生たちを将来採用する、民間企業から見た留学の意義とは何でしょうか。経済産業省のアンケート調査によると、海外に拠点をもつ企業では、グローバル化を推進する国内人材の確保・育成が課題だと感じている割合が高いようです。これを受けて、留学から帰国した学生たちを時期に関係なく採用できる、新卒者の通年採用を実施している企業が増えています。また、海外で就職フェアや講演を開催し、日本人留学生の就職を支援する取り組みをしている企業もあります。民間企業側も、グローバル化に対応できる人材を求めており、その育成の一端となる留学を積極的に支援しているのです。
 海外留学は、グローバル化が進む現代において、世界と対等に戦える力を有し、日本の成長を牽引する人物を育てる重要なツールの一つです。留学を通して、新しい出会いや気づきを得、未知のものにチャレンジしていく精神を身につけることで、これからの時代を生き抜く力の育成が求められています。(文/ 学林舎編集部)