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【GAKURINSHA TOPICS】 教育の行き先 大学入試改革がもたらすもの

 1990 年に開始された大学入試センター試験(以下センター試験)が、2020 年1月(2019 年度)の実施をもって廃止されることが発表されました。2020 年度以降はセンター試験に代わり、「高等学校基礎学力テスト(仮称)」、「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」が実施される予定です。

■改革の背景
 センター試験廃止の背景として、近年のグローバル化・情報化があります。変化の激しいこれからの時代、世界で活躍する人材育成のためには、「思考力・判断力・表現力」の向上が不可欠です。この波を受け、教育改革の一環として、センター試験の廃止が決定しました。
 従来のセンター試験では、マークシート形式がとられ、学習が「知識の暗記」に偏りがちだったためです。

■「高等学校基礎学力テスト(仮称)」
 「高等学校基礎学力テスト(仮称)」は、主に、学力の基礎となる「知識・技能」をはかる試験で、高校で身につけるべき学力の到達度を客観的な視点で確認するものです。これまで入試に利用されてきた内申書は、学校ごとに基準が異なっていましたが、一律の試験を実施することにより、公平な評価が可能になります。試験の対象者は高校2・3年生で、試験は年に2回程度実施され、生徒は任意で受験することができます。高校在学中に大学入試の一部が実施されることになるため、部活動やその他課外活動など、学習外の活動が軽視されることが懸念されます。

■「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」
 実質的にセンター試験の後継に当たるのが「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」です。この評価テストの結果と各大学が実施する個別試験の結果で合否が決まります。センター試験は、毎年実施日が決まっており、年に1回しか受験することができませんでしたが、この新試験では、年に複数回の実施が検討されています。また、記述問題の導入や、複数教科にまたがった「合教科・科目型」「総合型」問題の導入など、知識や技能を活用する「思考力・判断力・表現力」も評価することが大きな変更点です。特に英語では「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能を総合的に評価するため、TOEFL などの民間の資格・検定試験が入試の一部として導入されます。また、試験結果は1点刻みではなく、段階別の成績になります。

■アメリカの大学入試制度
 アメリカでは、大学入試の際に、GPA(高校での成績)とSAT(大学進学適性試験)の得点の提出が義務づけられています。GPA やSAT での成績は良いに越したことはありませんが、GPA やSAT の得点が高いからといって合格が決定するというわけではありません。志望動機書、小論文、推薦書など、学力以外の部分が重視されることのほうが多いです。ボランティアの経験、部活動、打ち込んできた趣味についてなど、自分がどんな人間で、どんなことをどうやって乗り越えてきたかといった内容を、自分自身の人生を振り返りながら主張します。大学側も、アドミッション・ポリシー(どのような能力・意識を持った学生に入学してほしいか)を定めており、それを指針に、学生の「主体性・多様性・協働性」を評価しています。このように、アメリカの入試制度では、「知識・技能」といった学力はもちろんのこと、「思考力・判断力・表現力」を持った人間を見極めている、ということがわかります。日本も、徐々にアメリカ型の入試制度にシフトしていくと思われます。

■まとめ
 「思考力・判断力・表現力」とは、問題・課題に対して、自ら解決策を見出していくことと言えます。これからは、新しい大学入試制度を通して、このような「思考力・判断力・表現力」を持った若者の育成が期待されるでしょう。(文/学林舎編集部)