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【GAKURINSHA TOPICS】教育の行き先 中高一貫教育の現状

 公立学校における中高一貫教育の導入についての議論は、1980 年代から盛んに行われていましたが、初めて公立中高一貫校が設置されたのは、1999 年のことでした。これ以降、各地で公立中高一貫校の設置が進み、とくに2005 年に東京都に設置されてからは大きくその数を増やしました。
 公立学校に中高一貫教育が導入されるようになった背景には、従来の中学校・高等学校に加え、生徒一人ひとりのゆとりある教育を目指して、6 年間の一貫した教育課程や環境で学ぶ機会を用意し、生徒や保護者に対してさまざまな選択肢を提示するという考え方があります。この考え方に基づいて、1998 年に「学校教育法等の一部を改正する法律」が制定され、公立学校でも中高一貫校が設置できるようになりました。
 中高一貫校は、行われている教育の内容によって、次の3 つの形態に分けることができます。
 
・中等教育学校…中学校と高等学校を分けず、1 つの学校として、一体的に中高一貫教育を行います。
 
・併設型の中学校・高等学校…同一の設置者によって、中学校と高等学校が接続しています。つまり、中学校と高等学校は分かれていますが、高等学校入学者選抜は行いません。また、高等学校からの新たな入学者を受け入れています。
 
・連携型の中学校・高等学校…市町村立中学校と都道府県立高等学校など、異なる設置者間でも実施可能な形態であり、中学校と高等学校が、教育課程の編成や教員・生徒間交流等の連携を深めるかたちで中高一貫教育を実施しています。1 つの学校となっていないことから、ほかの高等学校へ進学する生徒や、ほかの中学校から入学してくる生徒もいます。

 公立の中高一貫校の中で最も多い形態は併設型です。また、中高一貫校の数は、2015 年時点で公立学校が194 校、私立学校が396 校、国立学校が5 校あり、全部で600 校近い数となりました。現在も新たに設置が続いており、その数は増えています。なお、都道府県別でみると東京都や神奈川県の数が多く、人口が集中している地域の設置数が多くなっています。
 2022 年、東京都では新たに小中高一貫教育校の開設が予定されています。小中高一貫教育校とは、その名の通り、小学校から高等学校までの12 年間を一貫して同じ学校で教育するものです。もともと東京都は、理数系教育に特化した4-4-4 制とする一貫校の設立を目指して計画を立てていましたが、小学校入学前に理数系を重視した教育への適性があるかどうかを判断するのは難しいことや、都知事が交代したことなどから計画が頓挫していました。その後、改めて検討された結果、英語教育に力を入れ、国際的に活躍できるグローバル人材の育成を目的とした6-3-3 制の学校を設置することとなり、現在準備が進められています。
 この12 年間を通した教育では、小学校3 年生からの英語教育や各教科の先取り学習、定期考査制の早期導入などを行う予定です。高い語学力や豊かな国際感覚、日本人としての誇りなどを身につけることを教育理念としています。しかし、一方で、小学校受験の過熱化が予想されることや、入学後の人間関係の固定化、学力差の拡大、いわゆる「中だるみ」といった問題も懸念されています。
 中高一貫校は、今後も増加すると考えられます。小中高一貫校も、東京都の取り組み次第で、ほかの都道府県にも設置される可能性があります。公立学校の新たな教育理念がどのように広がっていくのか、今後の動きが注目されます。(文/学林舎編集部)