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【GAKURINSHA TOPICS】教育の行き先 フリースクール、ホームスクールの動き

 2016 年12 月7 日の参議院本会議で、「教育機会確保法」が可決されました。(以下、同法と表記)これは不登校児童の学校外での学びを支援する法律です。
 学校外の学び場は主に2 つあります。
  
・フリースクール…ある理由で不登校になった児童を預かる、既存の学校以外の施設の総称。
  
・ホームスクール[ホームスクーリング]…学校に通わず、家庭で学習を行うこと。
  
 同法では不登校を、「相当の期間学校を欠席する児童生徒であって、学校における集団の生活に関する心理的な負担その他の事由のために就学が困難である状況」と定義し、不登校の児童を国や地方公共団体が支援することが、初めて明記されました。
 同法は、国と地方公共団体に、全ての児童生徒が豊かな学校生活を送り、安心して教育を受けられるように取り組むことを求めています。また、同じく国と地方公共団体に、不登校の児童の継続的な状況把握と、児童生徒や保護者へ情報提供を行うことなどを求めています。
 今までは、学校でいじめを受けても登校せざるを得ず、よりいじめが深刻化する問題もありましたが、同法では不登校の子どもたちの休養の必要性も認めています。
 ただし、フリースクールなどの学び場で行われる教育が、義務教育と認められたわけではありません。原案では、不登校の児童がフリースクールやホームスクールなどで学ぶことも義務教育と認める内容でしたが、自民党内から「学校教育の根本を揺るがす」、「学校へ行かないことを助長する」との意見があり、当初の内容から大幅に変更になりました。これにより、依然として日本では学校以外で義務教育を行うことはできません。
 正規の学校教育しか義務教育と認めていない国は少なく多数です。世界に目を向けると、教育に対して柔軟な姿勢を見せている国が多いです。アメリカでは、ホームスクールで学ぶことに対してすべての州が就学義務の免除を認めています。イギリスやフランスなども、一定の条件のもとで、家庭で義務教育を行うことを認めています。日本では、あくまでも正規の学校に通うことが前提で、その傍らでフリースクールにおいて相談・指導を受けた日数を出席扱いにすることが許されるに留まっています。
 現在、日本の中学校の不登校生徒数は、ここ20 年間ずっと10 万人前後で高止まりしています。これは全国の中学生のおよそ2.8%にあたる数です。不登校児童が通うフリースクールなどの施設は全国におよそ400 施設ありますが、利用料が利用者の自己負担であるため利用料が払えず、フリースクールに通うのを諦めるケースがあります。その結果、資金難に陥る施設が多いです。こうした施設を国や地方公共団体が財政支援することが求められます。また、公的に支援される仕組みがあることは不登校児童も「社会から認められている」という肯定的な感覚を持つことができます。
 このように、学校外での学びを国や地方公共団体が支援することによって、不登校児童の「教育を受ける権利」が保障されることが期待されています。
 不登校の経験者、不登校児童の支援者たちの意見は賛否両論です。「休むことの必要性や、学校以外の多様な教育機会の重要性を明記したことは大きな一歩である」と歓迎する人がいる一方で、「この法律は、児童生徒と不登校児童生徒を分けて差別している」と反対する人もいます。この法律は、3 年後に見直す規定が盛り込まれています。この3 年で同法の利益や弊害を洗い出し、法律をよりよくすることが必要です。(文/学林舎編集部)