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【GAKURINSHA TOPICS】学習教育の行き先 外国語授業を英語で行う意味と必要性

■次期学習指導要領案と英語指導の現場
 次期学習指導要領案において、中学校・高等学校の英語の授業は「英語で行うことを基本」としています。現状、実際の教育現場では、英語の授業をどのように行っているのでしょうか。文部科学省が公立中学校・高等学校を対象に行った平成27 年度の「英語教育実施状況調査」によると、「発話をおおむね英語で行っている」または「発話の半分以上を英語で行っている」中学校教員は1 年生で58.3%、2 年生で56.9%、3 年生で54.8%となっており、高等学校教員についても各学年で34.4%〜 49.6%程度となっています。次期学習指導要領案で「基本」とされている英語での授業は、現状、約3分の1から半数の教員によってしか実施されていないとわかります。

■英語で授業を行う必要性とは?
 では、英語の授業を英語で行うことの目的は何でしょうか。主には、実践的な英語力を育むためです。現在の日本の英語教育は、「英語を用いて何ができるようになったか」よりも、文法などの知識を積み上げることが主で、実践的な英語力を身につける取り組みが不十分な学校もあります。文法や語彙を学習しても、それを実際のコミュニケーションの場面で使用できないケースが多いのです。英語での授業は、英語に触れる機会を増やし、生徒が実際の場面を意識して英語を学習できるというメリットがあります。2020 年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に伴い、日本を訪れる外国人の増加が予想されることや、今後さらにグローバル化が進んでいくであろうことを踏まえると、英語を使う機会はますます増えるでしょう。実際のコミュニケーションの場面で、間違いを恐れず積極的に英語を使おうとする態度を育成するためにも、英語で授業を行うことは必要なのです。

■実施に向けての課題とその改善案
 現在は約3分の1から半数の教員しか実施できていない英語での授業ですが、それを「基本」とするにはいくつか課題があるようです。教員側の課題としては、「教員自身の英語力が足りない」という点が挙げられます。教育委員会主催の研修プログラムなどを利用している教員もいるようです。生徒側の課題としては、「授業で使用されている英語が理解できない」という点が挙げられます。中学校・高等学校ともに、教員は生徒の理解の程度に応じた英語を用いるよう、十分配慮して授業を進める必要があります。また、ただ英語で授業を行えばよいということではなく、先に述べたように、実践的な英語力を育むということが本来の目的です。そのためには、最終的なゴールを意識した授業計画を練る必要があります。学習到達目標を示すCAN-DO リストを指導に活用するということも1つの方法です。これにより「英語を用いて何ができるようになったか」が明確になり、生徒は自信を持って英語を使うことができます。また、教員も生徒も最終的なゴールを見据えた上で、授業を進めることができるのです。

■全面実施に向けて 〜これからの英語教育に求められること〜
 授業を英語で行うことの必要性と課題について述べてきましたが、本来の目的は、生徒が実践的な英語力を身につけることであるということを忘れてはいけません。そのことを踏まえた上であれば、英語で行われる授業は生きた英語に触れるよい機会になるでしょう。ただし、教員は生徒と最終的なゴールを共有しながら、達成に向けて必要な文法や語彙を結びつけて定着させていく必要があります。また、小学校で英語が教科化されることで、現在よりもさらに小学校と中学校、高等学校の連携が求められるでしょう。グローバル社会において、英語を用いてコミュニケーションを図ることができる人材を育てるために、各教育機関は協力し、授業計画を充実させることが求められています。(文/学林舎編集部)