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○Cross Road 第67回 高校野球とセカンドキャリア 文/吉田 良治

  3月に入りプロ野球のオープン戦、そして今年はワールドベースボールクラシック(WBC)が開催され、日本代表の活躍で野球が熱い春の到来となりました。そして3月後半はいよいよ春のセンバツ高校野球も始まります。先月のCross Roadではアスリートとライフスキルを取り上げましたが、今月は高校球児のセカンドキャリアでさらに深堀をしていきます。

 昨年秋に何度も甲子園で優勝している名門校のある高校球児から連絡を受けました。この球児は怪我のため、野球をあきらめないといけない危機に直面し、野球をやめた後の人生に不安を抱え、引退後のセカンドキャリアについて真剣に考えていました。彼は、そんな不安の中、米国・ジョージア工科大学でアスリートのセカンドキャリアについて調べていました。調べていく中で「トータル・パーソン・プログラム」について知りました。このプログラムについて詳しく知りたい、と色々探していたら私の名前に行き着いたそうです。大学進学を迎え、スポーツ推薦以外の選択肢、そして大学卒業のその先にある実社会での生活など、これまで真剣に考えてこなかった野球以外の生き方について深く考えていました。
 私は彼との対話の中、トータル・パーソン・プログラムも取り上げている“ライフスキル・フィットネス(岩波ジュニア新書)”“日本の大学に入ると、なぜ人生を間違うのか(PHP研究所)”の2冊の著書を紹介しました。日米の学生アスリートの生き方の違いや、スポーツへの取り組み方、そして教育に対する姿勢など、様々な違いを理解しながら、アスリート以前に一人のの人間として、本来養っておかなければいけない教養全般について彼は理解を深めてきました。そして高校卒業後の生き方を明確にし、大学の推薦入学(スポーツ推薦ではなく一般推薦入試)に備えました。そして年末には大学の推薦入試に見事合格も果たしました。
 この若者が経験した怪我という突然訪れた挫折、そしてそこで見つけた新しい人生の生き方(野球のバットの使い方だけでなく、人生を生き抜くためのバット=ライフスキルを持つ意味)は、今後の人生において必ず役立っていくことになるでしょう。
 彼が在籍した高校は今年のセンバツ高校野球に出場します。そして過去の大会同様頂点を目指します。数々の名選手を輩出し、甲子園制覇という栄光をつかんだ歴史あるチームが、必ず優勝するという保証はありません。そして高校で活躍した選手が、高校卒業後も野球で活躍し続ける保証もありません。先月も取り上げたように毎年NPBが発表する、若手プロ野球選手のセカンドキャリアの調査でもわかるように、突然引退の日が訪れ、別の生き方を見出すことが迫られたとき、“私には野球以外何もない”では、これまでの努力は無駄になってしまいます。
 今回取り上げた高校球児の見出した新たな生き方について、より多くの方と共有できればと、私が担当しているFM大阪の番組“みんなともだち”(毎週土曜日 午前8時25〜30分)では、この元高校球児をゲストに招き、彼の野球人生とライフスキルについての考えを共有することにしました。3月18日と25日に放送いたします。3月19日からはセンバツ高校野球も開幕します。彼の経験が今回の大会に出場する、そして甲子園を目指すすべての球児たちへのメッセージとなれば幸いです。(つづく)

吉田良治さんBlog
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