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○Cross Road 第68回 大学進学と18年問題 文/吉田 良治

 4 月から新しい年度となり、各教育機関でも新学期がはじまりました。そして新しく進学した新入生にとって、新たな人生のスタートとなります。今ある学びの機会を次へのステップになるよう、素晴らしい学生生活を送られることを願います。
 さて、今日本は少子高齢化が進み、年々若い世代の人口が減少しています。それぞれの教育機関では生徒の確保が最大の課題となっています。特に地方では若者人口の減少が著しく、学校運営も危うくなるケースも増えています。そして来年には18 年問題という、大学進学世代が一段と減少していく年となり、各大学では一人でも多くの受験生の獲得で躍起になっています。最も人口の多い東京都でも、都の推測で2025 年の 1,398 万人をピークに、人口の減少は避けられないといわれています。しかし今、世界的に人口は増加の一途をたどり、2011 年に70 億人を突破し、今後も増加し続けます。1990 年代末で60 億人でしたので、10 年ほどで10 億人増加したことになります。2050 年ごろには100 億人に迫ると推移されています。
 となると、日本の教育機関はこれまでのように、日本国内から生徒や学生を獲得するのではなく、海外からの留学生受け入れへシフトすることが、日本の教育機関の生き残る術となっていきます。
 海外からの留学生の獲得をどのように進めるべきか、国内の受験生獲得とはまた違うアプローチが必要となります。日本では受験生の成績による偏差値ランキングというものが、受験生の進学先選択の目安の一つになりますが、海外の受験生にとっては学業評価も違い、偏差値ランキングは全く意味を持ちません。大学なら世界的なランキング(イギリス・タイムズ紙や中国・上海交通大学など)がその目安となります。しかし、近年こうした世界大学ランキングにおいて、日本の大学の評価が下落し続け、アジアの中でも長年トップにあった東京大学は、この2 年ほどはアジアナンバー1 から脱落しています。世界トップクラスの大学進学においては、日本の難関大学であっても、滑り止めという位置づけになり、優秀な留学生を獲得することはできません。実際 2015 年の発表では、東京大学が外国人などを対象に開設している、秋入学の「教養学部英語コース(PEAK)」2014 年度合格者のうち、7割が入学辞退しています。まずは世界の中での大学評価を高めるための取り組みが必要となっていきます。
 そんな中、中国を中心に日本の大学を目指す若者が増加し始めています。特に東京大学などの難関国立大学、早稲田大学、慶應義塾大学など名門大学が人気となっています。日本の難関大学進学の目的は、世界の超エリート大学を目指すのではなく、単純に大学卒業後日本で就職をするという、日本の大学進学で新たなニーズも出ています。そのため留学生の受験対策として留学生専門の予備校も増えつつあり、一時期大手予備校の撤退など、国内向けの大学受験産業の衰退が危惧されましたが、留学生へシフトすることで、大学受験産業の生き残りの光が見え始めています。あくまでも難関や名門大学向けに限ったものですが、今後留学生獲得を目的として、爆留学という日本の教育機関に新たなビジネスチャンスを生むことになっていきます。留学生ブームはあくまでも国内の上位にある、それも都心部の大学に限ったことなので、地方の大学や中堅以下の大学にとっては、爆留学の恩恵を受けれなければ、依然として少子化による受験生獲得の厳しさは続いていきます。(つづく)


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