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○Cross Road 第69回 大学の100分授業から見えること 文/吉田 良治

 日本の大学の授業は1 コマ90 分、半期15 回で2 単位というのが一般的です。近年1 回の授業を10 分延長して、100 分授業を導入する大学が増えています。主な要因として祝日が増えていることで暦通りに運営すれば、文科省が定める授業日数を確保できないことが挙げられています。特に3 連休を増やすため、月曜日に祝日を設けるハッピーマンデイにより、暦通りで授業をすると、月曜日の授業回数が極端に少なくなる為、祝日の月曜日に授業を実施するケースも少なくありません。職場の働き方改革が進み、残業を減らす取り組みや、プレミアムフライデー、そして夕活といった国を挙げて労働時間の短縮を進める中、教育の現場では祝日に授業を実施しなければいけない、という現象が起こっていました。
 そこで明治大学などでは通常1 コマ90 分授業のところを10 分延長し、100 分授業にすることで授業回数を15 回から14 回に減らし、休日授業を無くす取り組みが始まっています。これにより月曜日など祝日の多い曜日の休日授業を無くすだけでなく、夏休みなどの長期休暇期間を延ばすことで、短期留学の促進や企業でのインターンシップの機会を増やすことにもつながっていきます。
 ただ、90 分の授業でも学生が授業に集中できず、居眠りをすることも少なくありません。さらに10 分長くなると、学生の集中力が持つのか不安視されています。実際、90 分の授業が集中できず居眠りする学生が多い、と悩む大学では、むしろ1 コマ60 分に短縮した方がいいのでは、という声も聞かれます。その理由は高校まで最大でも50 分授業というところが多いので、その約倍の90 分授業に適応できない学生への配慮、ともいえます。
 しかし、それでは大学を卒業し社会人になった時、職場での労働環境に適応できません。以前なら勤務時間内でもティータイムと称し、ちょっとした休憩時間を取ることが容認された職場もあったでしょうが、近年は就業規則の厳守・職場の規律が徹底され、昼食時間を含め休憩時間が厳格化されています。午前9 時始業なら午後12 時までの3 時間は、休憩というものを設ける企業はないと心得ておくべきでしょう。昼食に1 時間使えば、午後13 時から午後17 時の定時までの4 時間は、休憩をとれないということになります。
 大学の授業に集中できずついていけない、というリズムが定着してしまえば、社会人になってすぐ職場環境に適応することはまず無理でしょう。また、授業に遅刻したり、朝一番の授業を敬遠し、2 時間目以降の授業を受講する傾向もあります。これらも実社会に進んだ際、学生時代の生活習慣のリズムは、すぐに適応することは難しく、社会人となった後生活習慣の改善に苦労することになります。
 アメリカの大学は朝一番の授業は8 時台に始まることが一般的です。授業中の居眠り、そして遅刻に対し厳格な対応もとられることがあります。単純に大学の授業授業時間を10 分の時間延長するということだけでなく、学生が卒業後にどう生かすのか、そこをしっかり理解することが求められます。(つづく)


吉田良治さんBlog
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