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【GAKURINSHA TOPICS】教育の行き先 高校入試について考える

 公立高校入試において、以前は総合選抜が各地で採用されていました。しかし、いくつかの問題が指摘されたことにより、現在では全国的に廃止され、単独選抜に移行しました。今回は、それぞれの選抜制度のメリットとデメリットを紹介します。

□総合選抜

 総合選抜とは、学区内の定員すべてを合格者として、居住地や学力などによって、合格者を各高校に振りわける制度です。学校間の学力格差を解消することが目的のひとつでした。学区内の定員に入るのに十分な成績を取ることさえできれば、その学区内のいずれかの高校に入学できるため、受験競争が過熱することはありませんでした。ほぼ確実に地元の公立高校に進学できるため、高校入試対策に時間をかける必要がなく、生徒はゆとりのある中学校生活を送ることができます。
 一方、学校間の学力格差は少ないものの、ひとつの学校の中では生徒間の学力の差が大きくなる傾向があり、授業についていけない生徒が増えたり、学校内の競争が低レベル化したりするなどの問題点がありました。また、学区単位で合格者を決めて、そこから学力優先方式や居住地優先方式によって生徒を各高校に配分するため、受験者にとっては、発表されるまで自分がどの高校に行くかわからないというデメリットもあります。
 これらの問題点を考慮して、現在ではすべての都道府県で総合選抜は廃止されました。

□単独選抜

 単独選抜は、学校ごとに入学者の選抜を行う一般的な入試制度で、受験者は自分の行きたい高校を選んで受験することができます。つまり、受験者が主体的に高校を選ぶ制度です。人気のある高校の受験者数が多くなる傾向があり、合格難易度は年度によって変動します。自分の好きな高校を指定して受験するため、生徒は真剣に受験勉強に取り組むでしょう。その結果、各地区において総合的に生徒の学力レベルが上がります。総合選抜では、学力の高い生徒が自分のレベルに合った公立高校を受験できず、進学実績が思うように得られないデメリットがありましたが、単独選抜では自分のレベルに合った高校を受験することができ、進学に向けて安心して学習を進めることができます。学校側にとっても、学校内の生徒の学力にばらつきが少ないことにより、指導がしやすくなるメリットがあります。
 一方で、不合格になるリスクは総合選抜より高くなります。総合選抜であれば近くの他の高校に進学できていたかもしれない生徒も、単独選抜では不合格になってしまう可能性があるので、公立高校に入れなかった場合に備えて、私立高校も併願で受験する生徒が増えています。私立高校は受験費用が高いため、家庭への負担が大きくなります。また、総合選抜と比較して、学校間の学力格差が生じやすく、エリート校と底辺校が形成されやすくなります。この差は世間の風評と受験産業がつくりあげた情報によって固定化される傾向があります。このため、より上位の高校を目指そうとして受験競争が激化し、ゆとりのある中学校生活を送ることができないといったデメリットもあります。
 このように、単独選抜制度にもメリットとデメリットがあります。そのため、通常は単独選抜では1校しか受験できませんが、第2志望まで選べる複数志願制度を採用するなど、各地区で工夫が進められています。(文/学林舎編集部)