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【GAKURINSHA TOPICS】学習の行き先 「国語に関する世論調査」から何が見える

 平成29年9月、16歳以上の男女を対象とした「国語に関する世論調査」の結果が発表されました。これは、文化庁が平成7年度から毎年実施している、日本人の国語に関する意識や理解の現状を調べたものです。平成29年度に行われた調査の中から、いくつかの項目に焦点を当てて考察していきます。

○相手や場面を認識し、説明する能力が求められている

 「これからの時代、特に必要だと思う言葉に関わる知識や能力は何か」という問いに対して、上位3項目は、「説明したり発表したりする能力」20.7%、「相手や場面を認識する能力」18.9%、「論理的に考える能力」10.7%という順になっています。平成14年度の調査に比べると、それぞれ、3.0、11.5、2.8ポイント増加しています。一方、「漢字や仮名遣い等の文字や表記の知識」は6.1ポイント減少の3.4%、「語句や慣用句等の知識」は1.4ポイント減少の1.2%にとどまりました。この結果から、「書き言葉」より「話し言葉」が重要視されているということが分かります。これは、「初対面の相手に対して、依頼する方法は何か」という問いに対して、「電話で会う約束をした上で、会って依頼する」という方法が74.0%という高い数値を示していることからも、うなずけると思います。
 さらに、「相手との伝え合いにおいて、(a)言葉に表して伝え合うこと、(b)察し合って心を通わせることのどちらを重視しているか」という問いに対して、(a)と回答した人が、平成20年度の調査より11.8ポイント増加して50.1%、(b)と回答した人が、3.3ポイント減少して30.3%、(a)・(b)どちらでもなく、「相手や付き合いの種類によって異なるので、一概には言えない」と回答した人が、9.7ポイント減少して16.3%という結果になりました。「察し合って心を通わせる」場面は日常的に見られるもので、親しい間柄において言葉を発さずに気持ちを通わせる場合や、場の空気を読んで交流する場合などがあります。しかし、近年では、相手の立場や気持ちを互いに推しはかることで衝突を避けるよりも、言葉で自分の考えや思いを正確に説明することで誤解を防ぐことが重視され、その能力が求められていると考えられます。

○「炎上」については、大多数が批判的

 今年度の調査において特筆すべき点は、インターネット上で非難や中傷が大量に届く、いわゆる「炎上」が取り上げられていることです。昨今世の中を騒がせている事柄でもあり、結果が注目されますが、「いわゆる『炎上』を目撃した際に書き込みや拡散をするか」という問いに対して、「大体すると思う」と「たまにすると思う」を合わせた「すると思う(計)」は2.8%、「いわゆる『炎上』という現象を好ましいと思うか」という問いに対して、「好ましい」と「どちらかと言えば好ましい」を合わせた「好ましい(計)」は5.0%と、いずれも低い数値です。このことから、大多数の人は「炎上」に対して批判的であることが分かります。ただし、年齢別で見ると、20代では前者の問いに「すると思う(計)」と回答した人が10.7%、後者の問いに「好ましい(計)」と回答した人が13.1%と、ほかの年代に比べて高い数値になっています。これは、書き込みをする人は20代に多いという傍証になると思います。

○言葉は変化する

 昨年度の調査では、「見れる・出れる」という、いわゆる「ら抜き言葉」の表現を使う人が、「見られる・出られる」という表現を使う人を上回ったということで注目されました。今年度は、「あとで後悔」「一番最後」「従来から」「まだ未提出」などの「重複表現」について調査しています。この中では、「従来から」「まだ未提出」が「気にならない」が「気になる」を上回っています。特に「従来から」は、「気にならない」が71.7%と高い数値を示しています(ただし、平成17年度の調査より2.7ポイント減少)。また、新しい表現では、「目が点になる」「心が折れる」という言葉を使うことがあるとの回答が、それぞれ46.4%、43.3%となっています。年齢別では、前者は50代が最も高く69.9%、後者は20代の76.2%が最も高い数値です。いずれにしても、新しく生まれた表現が世間で徐々に定着しつつあるということが分かります。(文/学林舎編集部)