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学林舎NEWS 2017.3.1 成長する思考力GTシリーズ国語文法講座(12)


書くことの意味について(7)

 この数ヶ月の間、「国語文法」「書くことの意味について」考えてきましたが、「国語=日本語教育」に関する取り組みは想像している以上に専門的な視点からすすめられていました。こういった専門的な視点を分析し、今後の「教材づくり」に生かせたらと考えています。
 日常的な国語学習について、成長する思考力GTシリーズを中心にカリキュラムを提案してきましたが、未就学児童、特に言葉を読み、書きはじめる4〜5歳の子どもたちに対しての教材も含め、カリキュラムを提案しなければいけない時期にきたのではないかと考えています。
 10年程前になるのですが、ある雑誌において、渡部昇一さんが自分が受けたい「簡単で理想的な国語教育」を実に簡単に述べられておられたのを再び、ここで紹介させていただきます。その善し悪しは別にして私たちがトータルな「国語=日本語教育」を考える上での参考に出来るのではないかと考えています。
 渡部昇一さんはご存じのように、哲学者であると同時に英語が専門の方です。彼は国語を母国語として位置づけられています。従って、日本の文化特有の語彙のニュアンス、日本人にしか理解できない価値観が含まれたものとして「大和言葉」を原点に国語教育の在り方を展開されています。
 特に日本人特有の文化として結実された和歌、俳句の世界は、心の深さを表そうとすると「大和言葉」でしか成り立たないと断言され、「国語教育の第一は、大和言葉の文学を小学生から、あるいは幼稚園のころから教えることである」と述べられています。さて、どう考えるべきなのでしょう。大和言葉で書かれた典型的な「古事記」や「日本書紀」や「万葉集」は中学生後半で「古文」として学習するようカリキュラムが組まれています。子どもたちの多くは、苦手な学習と位置づけているのが現実です。
 中学校における「古文」は、文脈としての理解ではなく、古文法、語彙の訳というように断片的な学習を子どもたちに提案しています。もし、日本の歴史、文化を前提としてすすめていく学習の上にこれらの書物があれば、おそらく一語一語を理解することは出来なくても書かれた文字とその中に含まれている多くの心を想像できるのではないでしょうか。大和言葉に含まれる豊かな表現はもちろん現在にも引き継がれ、現代的な短歌や俳句にたどりつくと思います。そして、子どもたち自身の歴史的現在への認識が、日本語で織りなされる文章表現に含まれる表現者の思いをより深く理解する手助けになるのではないでしょうか。次に渡部昇一さんは、「国語教育の第二は、外来語のボキャブラリーを増やすことである」と述べておられます。そしてこれは大和言葉が重要であるということと矛盾しないことは、外来語の方が母国語がもつ生々しさから切り離されて知的に扱いやすいことをその主な理由としてあげられています。ここでは特に「漢字」がその論の主流をなしています。極端に語彙の豊富な漢語を使うことによって、日本語をきわめて豊かにし、このことが日本人の知的活力の源となったと言われています。
 日本語は大和言葉と漢字の織りなす極めて豊かな文化の象徴とも言うべき言語といえます。もちろん今後この言語がどのように他の外来語と混ざって、変化していくかはまだ見えません。しかし、この文化の上に新しい文化が生まれていくことだけは確かでしょう。日本語を語るとき漢字教育が切り離せないのもこのことからくるのでしょう。しかし、漢字教育も古文同様、日本語の文脈として理解するという視点からたてば、新たな学習法が提案されても良いはずです。参考までに渡部昇一さんが推奨するしかたは「漢字はフリガナをふって覚えさせよ」です。フリガナをふった文章をたくさん読むことによって漢字が身につくということもあるのです。
 最後に渡辺昇一さんは、「国語教育の第三は、英語を習い始めたら、・・・べつにフランス語でも良いのだが・・・必ず英文和訳、和文英訳をさせることだ」と言われています。そして、英文和訳、和文英訳の学習は知能の訓練でもあり、このような本格的な学習をするのは2割ぐらいであとの8割ぐらいは、英語で買い物が出来たらいいのじゃないかとも付け足して、英会話学習に対して警鐘されていました。
 私たちが子どもたちに、日本語で「自由で豊かな表現をする」ことができる素養を身につけさせるための学習に、「日本人」の文化と歴史を切り離して考えることは不可能であり、それらを凝縮した表現形式である短歌、俳句の世界を避けて通ることも難しいと思います。もちろん日本文学もしかりです。国語学習は、表現を豊かにする素養を組み込むカリキュラムも含め、考える必要があるのではないでしょうか。(つづく)<文/学林舎編集部>


【成長する思考力GTシリーズ国語文法講座】

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・成長する思考力GTシリーズ国語文法講座(2)

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