○Cross Road
第77回 2018年は人口減少と向き合う年 文/吉田 良治
2018年が始まりました。今年は来月韓国の平昌で冬季オリンピック・パラリンピックが開催され、また今年はロシアでサッカーのワールドカップもあります。そして来年はラグビーワールドカップが日本で開催され、そして2020年に東京で夏季オリンピック・パラリンピックと続いていきます。大きなスポーツ競技が目白押しというところですが、日本は少子高齢化社会となり、今後、日本の人口は減少していきます。特に子どもや若者の人口減少は深刻で、スポーツでは競技者人口が減少します。当然人数が必要なチームスポーツは、既に学校単位でチームが組めず、複数の学校と合同チームを組んで、試合をすることも珍しくありません。
そして2018年といえば大学進学世代が一段と減少する、所謂“2018年問題”が始まり、大学の受験者獲得競争が激化する年です。先週は大学入試のセンター試験が行われました。これから本格的な受験シーズンを迎えますが、数年前に大手予備校の代々木ゼミナールが、全国にある支部校のほとんどを閉鎖したことからも、一般試験で入試を受ける受験生が減少し、予備校の必要性がなくなっています。スポーツが成り立たなくなるのと同様、大学も経営難となる大学が続出し、閉校や複数の大学の統合など、その数が減少していくことになります。
ただし少子高齢化社会は、全て悪いことばかりではありません。スポーツも大学も、生き残り策、可能性はいくらでもあるのです。例えば、世界的には今後も人口は増加していきます。当然若者世代も同様です。
近年観光で日本を訪れる、訪日外国人観光客は年々増加しているように、大学も、そしてスポーツもその担い手を海外から獲得することも、単に生き残り・存続だけでなく、より発展させるうえで一つの選択肢となります。スポーツでいえば、ラグビー日本代表には日本国籍を取得したものだけでなく、外国籍のままでも一定の条件をクリアすれば、日本代表ラグビーチームに参加することができます。また、外国人と結婚した方の子どもが日本国籍を取得し、スポーツをしているケースも増えています。(陸上短距離のサニブラウン選手やケンブリッジ飛鳥選手などの活躍。)
アメリカのように大学の留学生が100万人を超える事例があります。日本でも海外からの留学生を受け入れることが、大学運営を健全化する選択肢となっていきます。留学版爆買い、所謂“爆留学”です。既に日本の大学へ留学するための予備校などが脚光を浴びているなど、予備校ビジネスは日本人の受験生から外国人受験生へ、その需要をシフトしています。となるとここで重要になるのは、日本の大学力の問題です。近年世界的な大学ランキングでは、日本の大学の評価が下がり続けています。留学生ならだれでもいい、というのではなく、優秀な若者を受け入れるためには、大学ランキングで少しでも高い評価を受けることも重要になります。日本では大学を受験する受験生の偏差値のランキングはあっても、大学そのものを総合的に評価するということはありません。今後大学の国際競争力という、これまで持たなかった価値観に照らし合わせ、大学力の向上をしていくことが、日本の大学の生き残り策の最優先課題となります。
AIの時代、労働者不足はAIがカバーできますし、外国人労働者の受け入れもできますが、スポーツや教育の現場は人を育むところです。いかにして存続し、発展させていくのか、そのために人間力の源である知恵を活用しつくさねばなりません。(つづく)
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