2018年学習の行き先
英語教育改革によりどう変わる?
近年、グローバル化の進展の中で、国際共通語である英語を扱う力が重要視されています。2020年からの英語教育改革によって、学校における英語学習が大きく変わります。小学3年生から外国語活動(英語)が始まり、5年生からは英語が教科化し、習得度によって評価されるようになります。また、大学入試センター試験にかわって新たに導入される大学入学共通テストでは、英語の4技能「読む」「聞く」「話す」「書く」の力が評価されることになります。一方で、日本マーケティングリサーチ機構(JMR)が行った調査によって、小中高校生の保護者の94%が、学校の授業だけでは英語を話せるようにならないと思っていることがわかりました。
これまでの学校での英語の授業というと、どうしても受験を意識してしまうため、ひたすら単語や文法構造を覚え、長文読解をするというイメージが強いです。もちろん覚える作業、つまりインプットはとても大事ですが、それだけでは英語は話せるようになりません。単語や文を読んだり、聞き取ったりできる子どもはたくさんいますが、いざ会話の中で、自分のことについて話したり、相手に質問したりというやりとりをするとなると、難しく感じる子どもが多いようです。普段は英語の問題をすらすら解き、英語が得意科目だという子どもが海外を旅行したとき、外国の方と全く喋ろうとせずがっかりした、という保護者の話を聞いたことがあります。保護者としても、英語を学習しているからには、わが子が外国の方と英語でコミュニケーションをとっている姿を見てみたいことでしょう。
英語教育改革をうけて、自分の意見を書いたり、話したりすることに重点をおいた授業を実施する学校も増えてきました。覚えた単語や表現をアウトプットして自分のものにすることで、実際のコミュニケーションにおいても、英語を使いこなせるようになるのです。また、話す力を強化するためには、外国の方とのコミュニケーションに慣れることが大事です。そこで各学校における、英語を母国語とするALT(外国語指導助手)の役割が重要になります。ALTを導入している学校は多く、ALTの授業が好きだという子どもも多いようです。ALTの授業は、子どもたちに楽しく英語に触れてもらうために歌を歌ったり、ゲームをしたり、他国の文化を学んだりするようなものが多いです。ただ、それだけでは英語を話せるようにはならないので、ある程度英語に慣れてきたら、少し長めのやりとりをする時間も必要です。お手本として、教科担当教員とALTが楽しそうに会話する様子を、子どもたちに見せることが効果的です。そのときにイラストのカードを使ったり、少し大げさでもいいのでジェスチャーを交えたりすると、子どもたちを「話してみたい!」という気持ちにさせることができるでしょう。ALTと子ども、または子ども同士で長めの会話をする時間をとることで、話す力の強化につながります。
今後、英語教育改革により、話す力を重視した授業はさらに増えるでしょう。英語でのコミュニケーションが楽しいと感じ、たくさん話したいと思わせることができれば、子どもが学校の授業だけで英語を話せるようになることも、不可能ではありません。外国の方とコミュニケーションをとることは英語学習の醍醐味です。その面白さに気づき、積極的に話せる子どもが増えることを願います。(文/学林舎編集部)
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