2018年学習の行き先
教材選択について考える
学校での授業は、文部科学省の学習指導要領に則り編成された教科書をもとに行われています。それでは、生徒を指導する際、教科書以外にどのような教材を選択するのが望ましいのでしょうか。
教材は、「教科書に準拠した教材」と「教科書に準拠しない教材」の二つに大きく区分されます。それぞれの教材に特徴があり、期待される効果が異なるため、どちらの教材を選択するかは、指導をするうえで重要なポイントになってきます。
それでは、まず「教科書に準拠した教材」についてみてみましょう。「教科書に準拠した教材」は、教科書の単元や内容にそって編成されています。そのため、学校の授業に則していることから、学校の授業を基本に考える指導においては有効で、学校の授業を重視する生徒への指導に、より適しているといえるでしょう。授業の前に、「教科書に準拠した教材」で予習し、学校で授業を受け、「教科書に準拠した教材」で復習をする。このくり返しにより、学習内容をより定着させていくことが可能になります。明日、学校でどのような内容の授業があるのか、どのような用語が出てくるのか、どのようなポイントがあるのかを予め把握できていれば、学習内容が頭に入りやすくなります。そうして、基本的な学力が定着していけば、応用力へと結びついていきます。また、多くの「教科書に準拠した教材」は、基本的に教科書該当ページが掲載されています。そのため、授業で学習した内容が、どのページに掲載されているかも確認でき、自習学習にも適しています。さらに、学校での定期テストは、教科書にそった出題がなされるため、「教科書に準拠した教材」は、学校の定期テスト対策としても有効です。定期テストの点数を上げていくことが、内申点のアップにつながることを考えれば、「教科書に準拠した教材」での学習の意義は大きいといえます。
それでは、次に「教科書に準拠しない教材」について考えてみましょう。「教科書に準拠しない教材」は学校での授業の範囲を超えて、さらにもう一歩進んだ指導をするのに適しています。教科書以外にも、必要な知識は多く存在します。学校の授業では、指導内容が定められているため、この範囲を逸脱することはできません。しかし、もっと深い知識を与えれば、理解が深まる、興味が広がるという場面は多々あります。そのような場合、「教科書に準拠しない教材」が役に立ちます。また、受験勉強を視野に入れた場合にも、やはり「教科書に準拠しない教材」が必要になります。受験では、教科書での学習を応用した、総合的な力をみる問題が出されます。単元ごとにまとめられた「教科書に準拠した教材」では、この部分の力の強化が難しくなります。「教科書に準拠しない教材」であれば、一つの単元について、基本的な内容から、応用問題、さらに掘り下げた思考力をはかる問題まで網羅することができます。ただし、「教科書に準拠しない教材」はレベルが千差万別です。平易なものから超難関校入試レベルまであり、どのレベルの教材を選択するかということにも慎重な判断が必要です。いきなりハイレベルな教材を使用するのは、学習への意欲をそぐことにつながりかねません。生徒にあったレベルの教材、目的にあった教材を選択することができれば、確実に力をつけていけるのが「教科書に準拠しない教材」の強みです。
教材選択にあたっては、「教科書に準拠した教材」「教科書に準拠しない教材」のどちらか一方がよい、ということではなく、それぞれの指導方針や段階によって選択、採用をしていくことが望ましい結果を生むことでしょう。(文/学林舎編集部)
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