2018.12.14

2018年教育の行き先 変わっていく受験制度に関して

 2019年度実施を最後に現行の大学入試センター試験が廃止され、2020年度より新たに「大学入試共通テスト」が実施されます。今回は、大学入試共通テストの内容や、大学入試共通テストを実施することの必要性を確認し、これまでの日本の受験制度と今後について考えてみたいと思います。

1:大学入試共通テストとは何か?
 2020年度より新たに実施される大学入試共通テストは、

・学校で得た知識が身についているか、応用する力はあるか。
・知っていることを使って思考したり、判断したり、表現したりする力が身についているか。

 などを問う問題が今まで以上に重視されるテストです。大学入試センター試験からの具体的な変更点として、

・従来のマーク式問題に加え、記述式問題の導入。(最初は国語と数学Ⅰ・数学Aのみ)
・マーク式問題の改善。(思考力・判断力・表現力を一層重視した問題に改善)
・英語の4技能(聞く、読む、話す、書く)の評価。
(民間試験の導入)

などがあげられます。

2:なぜ大学入試共通テストを実施するのか?
 近年、グローバル化や技術革新などに伴い、社会構造も急速に変革しています。将来の予見が難しくなってきている時代の中で、新たな価値を創造していく力を育てることが必要となってきます。そのためには、『学力の3要素』(1.知識・技能、2.思考力・判断力・表現力、3.主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度)を育成・評価することが重要となります。この『学力の3要素』を評価するために、従来の大学入試センター試験に導入されているようなマークシート方式の試験や、解答のみを答える形式の試験ではなく、記述式問題を含む大学入試共通テストが実施されることになりました。

 これまでの大学の一般入試では、それまでに身につけてきた知識や技能を使い解答する、という形式が主流でした。学生に求められていたのは、知識問題や計算、読解などの技能の面で、習ってきたことを正確に表現できる力であり、その力を確認するために、現行の大学入試センター試験が実施されてきました。
しかし、今後必要になってくる力は、知識・技能だけではなく、課題解決能力の土台となる、思考力・判断力・表現力などの多面的・総合的な力となります。これを受けて、大学入試共通テストだけではなく、近年では中学入試や高校入試でも、自らの考えを記述したり、解答を導き出すまでの思考を説明したりするなど、記述式問題が増加する傾向にあります。今後は、中学入試、高校入試、大学入試すべてにおいて、自らの力で考えをまとめたり、相手が理解できるよう根拠に基づいて論述したりする問題がさらに増えてくるのではないかと考えられます。(文/学林舎編集部)