2019年教育の行き先 大学入試共通テスト―英語に関して
大学入試センター試験は2019年度(2020年1月)の実施を最後に廃止され、これにかわって2020年度から「大学入学共通テスト」(以下「共通テスト」)が始まります。
英語では、「読む」「聞く」「話す」「書く」の4技能を評価するために、民間の資格・検定試験の成績が利用されます。この成績を利用するにあたり、共通テストを実施する「大学入試センター」は、英語成績データ確認システム(仮称)などを設置します。ここでは、民間の資格・検定試験の成績活用の概要と、システム利用に向けた今後の動きについて解説します。
1.背景
センター試験の後継となる共通テストはこれまでと同様に約50万人の受験が予想されることから、一斉に受験するテストで、「話す」技能をその場で測ることが難しいため、民間の資格・検定試験の活用が決まりました。TOEICやTOEFLのほか、従来の英検とは異なる新方式の英検などの資格・検定試験が採用されました。
2.活用方法
国立大学協会は当初、「民間の資格・検定試験とマークシート式の共通テストの両方を課す」という基本方針を発表していましたが、東京大学や東北大学などは民間の資格・検定試験の成績を受験の必須条件としない、と発表しました。今後、各大学の方針が明らかになる予定ですが、成績活用の方法として下記のようなものが想定されます。
・資格・検定試験での一定水準以上の成績を受験資格とする。
・資格・検定試験の結果に基づき、大学入学共通テストの英語の成績に加点。
・資格・検定試験の結果に基づき、個別試験における加点・みなし満点等。
・「総合型選抜・学校推薦型選抜」における評価材料として活用。
成績は各民間の資格・検定実施団体から大学入試センターに提供された後、各大学の要請に応じて、大学入試センターからデータが送付されます。
3.資格・検定試験受検について
現役受験生の場合、高校3年生の4月から12月の間に、対象となる資格・検定試験を2回受検し、その成績を大学入試センターのシステムに登録します。同じ試験を2回受検しても、別の試験を1回ずつ受検しても構いません。3回以上受検して登録した場合は、試験実施日(試験実施日が複数にわたる場合は、最初の日)が早い順に2件の成績のみが対象となり、それ以外は無効となります。
4.システム運用方法
・共通ID
成績情報の識別・管理のため、どの資格・検定試験を受検するかにかかわらず、受験者(システム利用者)は、資格・検定試験の受検前に大学入試センターから共通IDを発行してもらいます。ID発行の申し込みは、現役受験生の場合は高校を通して一括で、既卒者は個人で直接行います。2020年度入試では、2019年11月から申し込み受付が始まり、2019年12月~2020年1月ごろに共通IDが発行されます。
・成績登録
各受験生がどの資格・検定試験の成績を利用するかは、各資格・検定試験への受検申込みの際に共通IDを記入して意思表示を行うことになります。そのため、共通ID発行申し込みの時点では、利用する資格・検定試験を決めておく必要はありません。
注意事項としては、下記があげられます。
・資格・検定試験の受検を申し込む時点では、共通IDを既に取得していなければならず、共通IDの取得後にさかのぼって、それ以前に受検した資格・検定試験の成績を利用することはできない。
・複数の資格・検定試験の中から、受験生が事後に大学への成績送付の対象とする資格・検定試験を選ぶことはできない(資格・検定試験受検時に共通IDを記載することが必須)。
・共通IDを記入して資格・検定試験を受検した後で、大学への成績送付を取り消すことはできない。
大学入試センターは、2019年度に高校や大学を対象に説明会を開くほか、共通IDや成績提供の仕組み等についての問い合わせに対応するため、2019年秋ごろにコールセンター(ヘルプデスク)を設置する予定です。(文/学林舎編集部)
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