2019.02.15

2019年学習の行き先 教育ICTって!?

 近年、教育ICTという言葉が、教育現場で頻繁に使用されています。家庭で、コンピュータやスマートフォンを活用した学習スタイルが定着しつつあることを考えると、子どもたちの学びにICT機器を利用することはとても自然な流れだといえるでしょう。学校現場のICTについて考えるとき、コンピュータの操作方法やプログラミング教育のことを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。今回は、そもそも教育ICTとは何なのか、そしてICTの活用によって教育はどのように変わっていくのかについて解説します。
 ICTとは、Information and Communication Technology(情報通信技術)の略です。Information Technology(情報技術)の略であるITとは、Communication(伝達、通信)の有無という点で違います。この2つは厳密な区別があるわけではありませんが、ITはコンピュータ関連の技術、ICTはコンピュータ技術の活用方法として使い分けられることがあります。このことから、教育ICTとは、教育におけるコンピュータ技術の活用方法と考えることができます。
 授業の中で使うICT機器にはどのようなものがあるでしょうか。電子黒板、プロジェクタ、タブレットパソコンなど、多くのICT機器が教育現場へ導入されています。図形の描き方を映像で見せたり、歴史についての写真や資料を紹介したりと、教師から子どもへ教えるツールとして、イメージしやすいでしょう。
また、子どもたちへ1人1台タブレットパソコンを配布し、調べ学習や授業の振り返りなどで活用している様子は、さまざまなメディアで取り上げられています。あるテーマについて、授業中に教師から発問し、子どもたちがそれについてその場でインターネットで調べて資料をまとめ、授業の最後に発表するというような授業展開も、ICT機器を活用した授業の例です。子どもたちがコンピュータやスマートフォンを使って復習を行い、その成績をもとにAI(人工知能)が苦手分野を分析し、分析結果に応じてその子どもに合った学習スタイルを提案するようなサービスも登場しています。さらに、同時に分析した子どもたちの理解度から授業の良し悪しを評価して、教師へフィードバックするようなシステムも開発されています。
 教育用のICT機器は、子どもたちだけが使うものではありません。先生同士の情報共有システム、成績管理や保護者との連絡ツールとして、利用されることもあります。また、電子黒板やタブレットなどのICT機器を配備するだけでなく、その利用環境として無線LAN(Wi-Fi)などの通信環境を整備することも必要です。つまり、教育ICTは、学習のためのICT機器の導入だけでなく、ICT機器を活用した教育環境の整備と考えることもできるのではないでしょうか。
 生まれたころからコンピュータやインターネットが普及した世界で過ごしてきた現代の子どもたちにとって、ICT機器を活用して学ぶことは、ごく自然な流れなのかもしれません。自ら学び、自ら考えるという主体的な学びは、これまでも、そしてこれからも変わることはないのです。 (文/学林舎編集部)