2019.04.19

2019年学校の行き先 国立・私立・公立(小学校)の違い

 昨今、幼少期の教育の重要性が頻繁に語られるようになり、それに伴い小学校受験を考える家庭が増えています。また、共働きで世帯収入の高い家庭が多くなり、子どもの教育にお金を掛ける親が増えた影響から、小学校受験の志願者数の割合は年々増加傾向にあります。小学校受験の選択肢は私立小学校と国立小学校が挙げられますが、これらにはどのような特徴があるのでしょうか。また、公立小学校との違いはどのような点なのでしょうか。学習という視点から、公立小学校との違いについて解説します。
 そもそも公立小学校とは、各市町村により設置され、各地域の教育委員会が税金で運営・管理をしている学校のことです。その地域に住む就学年齢に達した子どもであれば、誰もが入学することができます。私立・国立・公立問わず、授業は文部科学省が定めた学習指導要領に沿って進められますが、公立は特にその傾向が強く、公立小学校間での学習内容の差はほとんどありません。
 これに対して、私立小学校とは、主に学校法人が運営している小学校のことです。学校独自の教育理念を掲げ、特色のある学習カリキュラムに基づき授業を進めている学校が多くあります。例えば、外国人講師による「All English」の授業を1年生から毎日行っている学校、「先取り学習」を取り入れ、6年生のうちに中学準備を始める学校などです。他にも、農業体験や日本の食文化や食事マナーについて学ぶ本格的な「食育プログラム」を取り入れている学校もあり、それぞれ特徴のある授業を展開しています。私立小学校では、社会の変化はもちろん、児童や保護者の要望が重視され、それらが学習カリキュラムに反映されやすいことも特徴のひとつです。また、基本的に教員の転任がないため、一貫した教育方針をとることができます。
 次に、国立小学校とは、国立大学が運営している学校のことです。教育学部附属の学校が多く、教員養成の場として、さらには先進的な教育理論や教育手法を研究する実験校として位置づけられているため、研究段階にある新しい形の授業が積極的に導入されています。ある音楽大学の附属小学校では、多彩な音楽の授業が行われており、1年生から様々な英語の歌に触れています。英語独特の音を理解し、英語力を伸ばすこともその目的です。また、電子黒板やタブレットといったICT(情報通信技術)を積極的に導入し、それらを連動させ、電子黒板に一人ひとりの考えを映し出している学校もあります。クラス全員で考え方を共有し、思考を深める授業に役立てています。そして、これは私立小学校にも言えることですが、中学校のように「教科担任制」を導入し、それぞれの教科の専門の教員から授業を受けることができる学校もあります。
 このように、私立小学校や国立小学校と公立小学校を比べると、学習の形や内容に大きな違いがあります。私立小学校や国立小学校でも一括りに説明することは難しく、学校ごとにそれぞれ違った特徴や個性がみられます。ここでは学習面にしか触れませんでしたが、それ以外にも様々な違いがあります。
 社会がめまぐるしく変化していく中、様々な学びの形が生まれており、子どもたちが選ぶことのできる進路も多様になっています。進路の選択肢が増えている今、私立・国立・公立という枠だけにとらわれず、それぞれの学校の特徴を理解し、子どもたち一人ひとりの個性に合った学校を選ぶことが大切なのではないでしょうか。(文/学林舎編集部)