2019.05.17

2019年教育の行き先 2019年度 全国学力テストに関して

  2019年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)が、2019年4月18日に小学6年生と中学3年生を対象に全国で一斉に行われ、国立・公立・私立の小中学校合わせて2万9518校の児童・生徒およそ212万1000人が受験しました。
 2019年度より中学3年生に英語が初めて導入され、小学校2教科(国語・算数)、中学校3教科(国語・数学・英語)で実施されました。また、2018年度実施までは、国語と算数・数学は、おもに基礎知識を問うA問題と、応用力をみるB問題に分けて出題されましたが、2019年度からは、基礎知識と応用力をみる問題を合わせて出題する新形式に変更されました。初めて導入された英語については、「読む・聞く・書く・話す」の4技能の試験が実施されました。
 教科ごとに、どのような単元の出題があったかを解説します。

【国語】
○小学国語について
 公衆電話について報告する文章を題材とし、目的や意図に応じて図やグラフを用いて、自分の考えが伝わるように工夫して書くことができるかをみる問題や、ノートや本から一部分を抜粋したものを題材とし、文章の内容を的確に押さえて、自分の考えを明確にしながら読むことができるかどうかをみる問題が出題されました。また、広報誌の記事やインタビューの様子を題材とし、必要な情報を得るために話し手の意図を捉えながら聞いたり自分の考えをまとめたりすることができるかどうかをみる問題も出題されました。

○中学国語について
 新聞記事を題材とし、文章から必要な情報を読み取って整理して考えたり、根拠を明確にして自分の考えをもったりすることができるかどうかをみる問題や、会話文から、話し合いにおける発言の役割や進行するうえでの工夫を読み取れるかどうかをみる問題などが出題されました。また、意見文を題材とし、伝えたい事柄について根拠を明確にして書くことができるかどうかをみる問題、語の一部を省いた表現について、話や文章の中での適切な活用のしかたが理解できているかどうかをみる問題も出題されました。

【算数・数学】
○小学算数について
 台形を題材とし、図形について筋道を立てて考察し、表現することができるかどうかをみる問題や、棒グラフから資料の特徴や傾向を読み取る問題、計算のしかたを理解したうえで、ほかの数値の場合に適用して計算したり、計算のしかたを記述したりできるかをみる問題が出題されました。また、遊園地での待ち時間を題材とし、伴って変わる2つの数量を見出すことができるかどうかをみる問題も出題されました。

○中学数学について
 小学算数とは少し異なった形で、従来のA問題のような基礎知識を問う問題とB問題のような応用力をみる問題が合わせて出題されました。正の数・負の数、連立方程式、平面図形、比例・反比例、確率の内容はA問題形式で出題され、その単元の知識事項を問う問題や、計算技能が身についているかを問う問題が出題されました。応用力をみるB問題形式では、関数のグラフやヒストグラム、表などの資料から、事象を数学的に解釈し、問題解決の方法や判断の理由を説明することができるかをみる問題や、図形の証明問題や連続する奇数の和を説明する問題から、筋道を立てて考えたり、総合的・発展的に考察して新たに見出した事象を説明したりする問題が出題されました。

【英語】
 初めて導入された英語では、「読むこと、聞くこと、書くこと」に関する問題と、「話すこと」に関する問題が出題されました。
 「読むこと、聞くこと、書くこと」に関する問題は、放送を聞いて情報の詳細を理解したり、話の概要を理解したりすることができるかどうかをみる問題や、文章を読んで情報の詳細を理解したり、書かれた内容に対して自分の考えを記述したりする問題などが出題されました。
 「話すこと」に関する問題は、英語の基本的な音声の特徴を理解できているか、身近な英語の質問に正しく応答することができるかをみる問題が出題されました。「話すこと」の試験は5分程度で、生徒の解答をパソコンに録音する形式で実施されました。しかし、パソコンの整備が不十分な学校もあり、全員参加でなくなるため、「話すこと」の結果は参考値として公表することになりました。(文/学林舎編集部)