2019.06.14

2019年教育の行き先 新学習指導要領による学習評価について

  小学校は2020年度から、中学校は2021年度から「新学習指導要領」が実施されます。情報化や技術革新、グローバル化が急速に進む社会において、子どもたちが生きるために必要な力を育成することが学校教育には求められています。「新学習指導要領」は、この社会で「生きる力」を一人一人の子どもたちに確実に育成することを目指し、各教科などにおいて、次の3つの資質・能力を育成することを掲げています。

・実際の社会の中で生きていく「知識及び技能」
・未知の状況にも対応できる「思考力、判断力、表現力等」
・学んだことを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力、人間性等」

 それでは、この「新学習指導要領」による学習評価はどのようなものになるのでしょうか。
 学習評価には、各教科の学習状況を分析的に捉える「観点別学習状況の評価」と、これらを総括的に捉える「評定」、そして「個人内評価」があります。
 「観点別学習状況の評価」とは、学習指導要領にあげられた「教科の目標」をどれだけ達成できたかの評価です。たとえば、小学5年生の社会の目標に「我が国の国土の様子、国土の環境と国民生活との関連について理解できるようにし、環境の保全や自然災害の防止の重要性について関心を深め、国土に対する愛情を育てるようにする」とあります。この学年の教科目標に対して、授業を通して、子どもたちがどのように学習し、達成できたかが評価されます。その評価方法が観点別になっており、その観点とは「知識及び技能」「思考力・判断力・表現力等」「主体的に学習に取り組む態度」の3つです。掲げられた学年の教科目標に対して、どこまで「知識及び技能」が身につけられたか、身につけたことからどこまで「思考力・判断力・表現力等」を深められたか、また、どれだけ「主体的に学習に取り組む態度」がみられたかが評価されます。具体的な評価の方法としては、ペーパーテスト、論述やレポート作成、発表、グループでの話し合い、作品の制作など様々な活動が取り上げられます。それぞれの観点でA(十分満足できると判断されるもの)・B(おおむね満足できると判断されるもの)・C(努力を要すると判断されるもの)の3段階で評価されます。3つの観点によって「AAA」や「CAB」などと評価されます。 しかし、この「観点別学習状況の評価」では捉えきれない面が多々あります。子どもがもつ感性や思いやり、可能性、進歩の状況などです。これらを画一的に評価することは難しいため、「個人内評価」として記載されます。
 この「観点別学習状況の評価」をもとに、総括的な学習状況を示すものとして「評定」があります。評定は各教科の成績として5段階(小学校は3段階)で示されます。「評定」は各学期末に通知表(あゆみ)に記載されて、子ども・保護者に通知されます。また、「評定」は調査書に記載され、公立高校の入試の合否判定の一資料となるため、厳密な公正さがもとめられます。現在の評価・評定の方法が必ずしも万全なものとはいえない点もあり、より客観性をもった評価方法の検討の必要性も唱えられています。
 学習評価は子どもの学習の達成度を示すものです。保護者はその結果を、子どもとともに確認しましょう。よく達成できたところは大いにほめ、子どものがんばりを認めるようにしましょう。また、努力を要する部分については、子どもと、これからどのようにがんばっていくかを、前向きに話し合う姿勢が保護者として大切です。学習の評価は子どもの一面の評価です。すべてではありません。学習の評価を子どもに関する資料の一つとして捉え、子どもたちが未来を明るく生き抜いていける力を学校と家庭で協力して育んでいくことが大切です。(文/学林舎編集部)