2019.06.14

2019年教育の行き先 留学から進学へ -海外の大学に進学する

  昨今、海外“進学”を推奨する高校が増えてきています。令和となった現代の大学受験は、国内にとどまらず海外にも目を向けられており、グローバル化の波は大学受験にも押し寄せているといえるでしょう。
 当然のことですが、海外の大学に進学するためには、日本の大学受験とはまったく違う行程や手続きなどを踏むことになります。とてもハードルが高い印象を受けるかもしれませんが、しくみさえわかればそれほど難しいことではありません。今回は、アメリカの大学に進学することを想定し、そのしくみや注意点をまとめました。

○アメリカには大学入試がない
 驚くことに、アメリカでは日本のように試験会場で入学試験を受けるということがありません。アメリカの大学に進学するには、大学から求められる願書や高校成績証明書(GPA)、卒業証明書などの書類を提出し、あとはその審査結果を待つだけです。つまり、受験勉強をする必要がないのです。ただし、審査については高校3年間を通しての成績が重要視されるため、高校入学から卒業までの間、英語はもちろんのこと他教科の成績も高く維持し続ける必要があります。日ごろの積み重ねが非常に大切だということです。

○英語が苦手でも合格の可能性がある
 アメリカの多くの大学は、留学生の入学条件に、英語力判定テスト(TOEFLなど)のスコアを提出するよう求めています(最近は、英検の成績を提出してもよいとする大学も増えてきています)。実際に入学してから英語力に支障があれば困るので、これは当然のことですが、出願時点で英語力が不足していたからといって、合格の見込みがまったくないわけではありません。英語に自信がなく基準に満たない場合でも、その他の教科の成績や基準がクリアできていれば合格できる「条件付き入学」という制度があります。この場合の「条件」というのは、大学入学後に指定の英語学校などで4か月から1年間英語力を鍛えて、入学基準のレベルまで引き上げることです。また、合格基準の高い4年制大学ではなく、比較的合格しやすい公立の2年制大学(コミュニティカレッジ)の「4年制大学編入コース」に入学し、3年次から4年制大学に編入するという方法もあります。はじめから4年制大学に進学するよりも学費が抑えられることから、実際に多くのアメリカ人の受験生も採用しているもっとも一般的な入学方法です。

○入学のチャンスが年に数回ある
 一般的に、アメリカの大学は9月から新学年が始まり、そこから翌年5月までを1学年としています。ちなみに6~8月は夏休みです。また、学期は1年を2つにわけた2学期制(セメスター)や、3つにわけた3学期制(トライメスター)、4つにわけた4学期制(クォーター)があります。入学は学期ごとにできるので、日本の大学との併願も可能です。前述したとおり、アメリカの大学受験は審査のみなので、アメリカの大学に出願したあとは日本の大学受験に専念することができます。

○事前に学部や専攻を決める必要がない
 日本の大学受験は、事前に学部や学科を選んで出願する必要があります。一方でアメリカの大学では、はじめの2年間は一般教養課程(リベラルアーツ)を履修し、3年次から専門課程に入るのが普通です。つまり、まだ将来のことや学びたいことが決まっていない学生も、入学してからじっくり将来について考える時間を持てるのです。また、アメリカの大学では、複数専攻することができたり、途中で学部を変更できたりと、日本の大学と比べてかなり自由度が高いのも特徴です。

 このように、日本の大学と比べて受験しやすいことから、海外への進学を視野に入れるケースが増えています。グローバル化が叫ばれて久しい現代において、選択肢の1つとして考えてみるのもよいのではないでしょうか。(文/学林舎編集部)