2019年 学習の行き先 小学校英語に関して
2020年、小学校における英語学習が大きく変わります。3、4年生は年35時間の外国語活動(現在5、6年生が行っているもの)を行うようになり、5、6年生は年70時間、「教科」として英語の授業を受けることになります。英語学習が変わるといっても、その内容はどう変わるのでしょうか。今回は、小学校の英語学習における「書く」活動と「話す」活動に注目し、現在行われている英語学習がどのように変わっていくかを述べたいと思います。
アルファベットや英語の文を子どもに書かせる「書く」活動は、現在の小学校英語の授業では積極的には行われていません。現在の小学校英語は、子どもが英語を耳で聞き、英語の音に慣れ親しんで身につけることを目標としています。そのため、授業では主に「聞く」活動が行われているのです。
一方、文部科学省が公表している2020年に向けた新学習指導要領を見てみますと、5、6年生では「書くこと」の基礎的な技能も身につけさせることが書かれています。これは、現在の小学校英語では「書く」活動が重要視されていないために、中学校で急に増える「書く」活動にとまどう子どもが多いことが問題視されてきたことへの対策と言えます。また、2021年から始まる大学入学共通テストでは、「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能がまんべんなく問われるようになることから、小学校英語でもこの4技能をバランスよく身につけさせることが意識されたためであると考えられます。
2020年からの、小学校における英語学習では、アルファベットや英語の文を書き写す活動に加え、ある程度の長さのある文や、自己紹介や夏休みの思い出などといった、いくつかの文からなる文章を自分で考えて書く活動が行われることが予想されます。こうした活動によって、中学校や高等学校で、自分の意見を述べる英文を書くための、基礎的な力を身につけさせることができるのです。
次に、「話す」活動について見てみましょう。新学習指導要領には、外国語でコミュニケーションを図る素地となる資質、能力を育成することを英語学習の目標とすることが述べられています。英語でコミュニケーションを円滑に行うためには、頭の中にあることをすばやく英語にできる表現力に加え、抑揚のつけ方やジェスチャーも大切です。
日本の中学校や高等学校では文法中心の授業を行うため、日本人は文法に強く、筆記試験では高得点をとれますが、プレゼンテーションやディベートは得意ではないという人が多いようです。これに対して、外国の英語学習者は、文法の間違いが多少あっても、自分の話したいことをどんどん発話して聞き手を引き込む「話す」力を持っている人が多いです。英語学習において、この「話す」力を育成するためには、子どもが話したいことを話させるのが一番です。それは、話したいことを相手に伝えるために、子どもは単語や表現を自ら調べたり、表情やジェスチャーを工夫したりするようになるためです。また、上手に伝えられたときには、子どもは英語で伝える楽しさを知り、もっと話したいと思うようにもなるでしょう。そのため、今後の小学校英語の授業では、子どもが好きなものや将来の夢などについて発表させたり、クラスメイトと話させたりする活動が増えると予想されます。
2020年に始まる小学校における新しい英語学習は、中学校や高等学校での英語学習に必要な基礎的な英語力を養うとともに、子どもが将来、外国の人と円滑にコミュニケーションができる力も身につけさせることを目標にしているのです。(文/学林舎編集部)
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