2019.11.15

2019年 学習の行き先 小学校教科書改訂―国語編

  これまでに、算数と理科、社会を学習する意味について考えてきました。今回は、国語を学習する意味について考えたいと思います。
 「国語を学習する」といえば、みなさんはどのようなことを思い浮かべるでしょうか。
 文法と漢字を学ぶこと、そして文学的文章(小説・随筆)や説明的文章(論説文・説明文)、古典(古文・漢文)を読むことだと答える人が多いかもしれません。確かに、学校の授業ではそのような取り組みを行いますね。では、そのような学習をすることにはどのような意味があるのでしょうか。
 私たちが考える国語を学習する目的は二つあります。一つめは「相手の言いたいことを理解し、自分の言いたいことを相手に正確に伝えるため」、そして二つめは「他の教科の学習に役立てるため」です。
 
【相手の言いたいことを理解し、自分の言いたいことを相手に正確に伝える】
 
 例えば、文法と漢字を例に挙げてみましょう。私たちが毎日、話したり読んだり書いたりしている言葉には、一定のきまりがあります。これを「文法」とよびます。文法を学習することで、私たちは正しい言葉遣いを身につけて、文章を正確に読み取ったり、読み手に自分の考えや思いが伝わりやすい文章を書いたりすることができるようになります。
 漢字は中国から伝えられてきたものですが、日本では漢字からひらがな、カタカナが生まれました。ひらがなとカタカナは音だけを表す文字ですが、漢字は音だけでなく、その文字のもつ意味も表しています。そのため、漢字を適切に使って文章を書けば、自分の考えや思いをわかりやすく伝えることができるのです。ひらがなとカタカナだけの文章では、多くの場合、どのようなことを伝えようとしているのか、わかりづらい文章になってしまいます。
 また古典は、昔の人々が作り、長い間読み継がれてきたものです。そこに描き出されている人々の生活や考え方は、現代とは大きく異なることもあるでしょう。しかし、人間の喜びや悲しみといった感情などは、いつの時代でも変わりません。こういった長い時間が経っても変わらないものを発見することは、古典を学ぶことの意味の一つです。古典を学ぶことで、日本の伝統・文化の大切さやおもしろさを知り、日本人ならではの考え方を知るきっかけになるのではないのでしょうか。
 
【他の教科の学習に役立てる】
 
 新しい学習指導要領では、全教科で「言語活動の充実」が強調されています。そして、国語はすべての学習の基盤とされています。国語以外の教科でも、書かれている内容を正しく読み取ることができないと、問題を解くことはできません。その教科の知識を覚えて理解するだけではなく、どのようなことが問われているのかを読み取り、自分の知識を応用して、答えを正しく表現することが必要なのです。
 このように、国語を学習することは、国語の知識を増やしたり学力をつけたりするだけでなく、他の教科の学習にも役立つうえに、相手と円滑に意思疎通を図るためのコミュニケーション能力を育むなど日常生活でも生かすことができます。国語を学習することを苦手と感じている人も、普段の生活で話したり読んだり書いたりしていることが密接につながっていると知れば、もっと身近に感じて、学習しやすくなるでしょう。(文/学林舎編集部)