2019.12.04

学林舎が伝えたいこと 成長する思考力GTシリーズ誕生から20年 文/学林舎 北岡

 学習者・学習現場・出版社という枠を超えて共有できる〈必要性〉と〈必然性〉が、成長する思考力GTシリーズには集約されています。成長する思考力GTシリーズは、学林舎の考え方から誕生したのではなく、いわば現場の声に押し出されるように20年前に制作されたのです。

○〈必要性〉とは
 文部科学省が決めた学習指導要領にそって、学校が採択した教科書、教科書を補完した教材で、50年以上私たちは学習してきました。この枠の中で、一律で平等に学習した結果、グローバル化する社会に対応できているのはほんの一部にすぎず、多くの学習者はうまく対応できずに足踏みをしています。
 現在、情報を必要性に基づいて収集し、分析することが、社会で生き抜く〈重要な諸力〉のひとつになっています。情報の大半は、文書化、画像(映像)化されたものです。中でも文書化された情報を理解する力、すなわち読解力こそが、〈必要〉なのです。これは、「本が読める子どもになってほしい」「文章が書ける子どもになってほしい」という声に対応するものといえます。

○〈必然性〉とは
 「本が読める子どもになってほしい」といいますが、これは本質的にはどういうことなのでしょうか。
 子どもたちは、それぞれ、子どもなりに好きな「本」を読んでいます。それはマンガであったり少年少女文庫であったり・・・。一方で「本」をほとんど読まない子どもたちもいます。「本が読める子どもになってほしい」というのは、「子どもたちが自分の好きな本をただ読むようになってほしい」ことではないと私は思います。「本が読める子どもになってほしい」の先には「文章読解、自分の言葉で要約、表現ができる力を身につけてほしい」があります。つまり、現代社会の流れからして〈必然〉ということなのです。

 「社会を主体的に生きる」ということを考えたとき、文章読解の〈必要性〉が〈必然性〉として重層的に表れてきます。このように、すべての〈教育〉や〈学習〉に関係する文章読解に特化した学習教材は、20年前にはほとんどありませんでした。(〈作文〉学習、添削はありましたが、これは文書読解とは異なると考えています。)現在は、数多くの文章読解を中核にした学習教材が出版されていますが、成長する思考力GTシリーズのように段階的に学習させる教材は少ないです。
 成長する思考力GTシリーズを含めた学林舎の教材が他社の学習教材と違うところは、〈必要性〉と〈必然性〉を集約しているところです。ニーズに対応する教材、商品の必要性は否定しませんし、学林舎の教材にも少なからず存在します。ただ、学林舎の教材制作の理由、学林舎の存在意義を考えたとき、大切なのは「子どもたちにとって必要な学習は何か?」が根幹にあります。その上で、今は必要ないかもしれませんが、5年後、10年後、必ず必要になる学習、「知」を教材にして、子どもたちに届けたいと考えています。(文/学林舎 北岡)