時代をこえる数学単元別テキスト -20点から88点へ
数学単元別テキストをご利用いただいている先生から「定期テストなどで、今まで、20点台の生徒が、単元別を学習したことによって88点とりました。嬉しくて、電話をさせていただきました。」私にとっても、この報告はすごく嬉しい報告でした。
中学校で数学が苦手な子どもの多くは「わからない」「理解できない」ということが何かのきっかけで積み重なり、“数学が苦手”という意識を自分の中で大きく育ててしまっている原因があります。この数学単元別テキストの制作者である(故)北岡輝紀も算数・数学が苦手でした。そのため、数学単元別を制作するにあたって「わからない」「理解できない」という言葉が子どもたちからでないようにすることを心がけて制作されました。今から35年以上前の話です。
数学単元別の制作に関して、(故)北岡輝紀は下記の文章(2002年執筆)を残しています。
学林舎はこの20年間「数学単元別テキスト」と共に歩んできた。20年前にホッチキスでとめられたガリ版刷りの「単元別テキスト」を使って下さった先生は、今もなお、「単元別テキスト」を使い続けて下さっている。はじめて東京の展示会に出展して、「大阪弁の学林舎」とおっしゃられて笑いながら「単元別テキスト」をほめて下さった先生もまた「単元別テキスト」を使い続けて下さっている。「単元別テキスト」がとりもつ仲で多くのすばらしい先生方と出会えたこの20年は私にとって何よりの宝物である。
今から20年ほど前のことだろうか。私もまだ若くて、いっぱしの教師ぶっていた頃のことだった。黒板に恥ずかしげもなく汚い字で数字を書き連ね、「同じこと何回言わすのだ。よく考えろ。」などと声も人一倍張り上げて授業をしていたのである。今思い出すだけでも穴があったら入りたい気持ちになる。
そんな私を変えたのは小学生5年生の少年だった。彼と出会わなかったら「単元別テキスト」は生まれてはいなかったのである。とにかく落ち着きがなく何十ぺん練習しても、分数の計算を間違わずにできなかったのである。それでもその時の私ときたら、毎日のように同じことを繰り返して、その少年に計算をさせる以外何の能もなかった。ある日、少年が「先生、ぼく、ばかだから先生のいっていること、なんど聞いてもわからない。自分で何が分からないのかも分からない。」と泣きながら私に訴えたのだった。この瞬間、私は全身に震えが走るのを押さえることができないほど自らの無知を思い知った。このとき始めて、生きた子ども一人ひとりの瞳が私の胸に突き刺さったのである。
わたしは、それ以来、黒板に字を書くことをやめ、毎回、授業の内容を手書きのプリントで説明し、一人ずつ見て回る方法を取り始めた。その時の私の仕事は、子どもたちの躓いたところをノートにメモし、分からない理由を子どもたちに聞くことであった。このプリントこそが単元別の原型である。単元別は子どもたちによって作られたものなのだ。子どもたちのわかりたいという気持ちが、単元別には反映されている。しかし、それ以来私は教えることのできない教師になってしまった。そして気づいたときには子どもたちからわからないことを教えてもらうお兄さんになっていた。
ある時、街で「北岡先生!」という呼び声にびっくりして、後ろを振り向くと、たくましい青年が私に近づいてくるではないか。「先生、ぼくですよ。」白い歯をむき出した明るい屈託のない笑顔が幼い面影を呼び起こしていた。あの少年だった。10年ぶりの再会であった。仕事で疲れきった私も思わずその笑顔につられて、引き寄せられるように彼と抱き合っていた。このとき、私はこの喜びを味わうために今日の自分があることに気づいたのだった。単元別が世に出る1年前のことである。
そして、35年以上経った今でもその効果は、当初と変わらない効果を発揮していることを今回の報告は証明してくれるものでした。実は私自身もこの数学単元別テキストや数学パターン集、数学到達度テストなどに中学生当時助けられました。そのことによって、中学校生活において、学校(公立)の数学に関しては悩まされることはありませんでした。ただ、数学単元別テキストはあくまでも学校レベル(公立)の数学の基礎を固める教材のため、ワンランク上の論理的な数学には対応できない弱点もあります。この論理的な数学に対応するためには成長する思考力GTシリーズ算数で培った論理力が必要になります。
今回、20点台から80点台になった生徒が、今までの“数学が苦手”という意識から脱して、自分の学びを加速化してくれることを願っています。(文/北岡 響)
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