2020年以降求められる算数力 文/学林舎 北岡 響
筑波大学附属中学校入試問題より
問題を解くために必要な力って?
この問題を解くのに計算力はそれほど必要ではありません。この問題を解くために必要なことは計算力をのぞくと次の4つです。
1. 言葉の意味が分かっていること。
例)「立方体」「立体」
2. 操作の意味が分かっていること。
例)「正面から見ると」「上から見ると」
3. 条件を読みとれること。
例)「最も少ない数」
4. 何を求められているかがわかっていること。
例)「個数を求めなさい」
この4つの理解があってはじめて「解く」という作業に入れるのです。この4つの中で「技術」が必要なのは2です。「正面から」「上から」見るということがどのようにするかがわかっていないと処理できません。
計算のための学習から考える学習へ
これからが本題です。算数・数学はもともと「すじ道をたてて考える」ための学習だったのですが、いつの頃からか「算数=計算」という考え方がはびこりはじめたのです。上の問題はその意味で格好の問題といえます。図形に限らず、ものごとはひとつの見方だけではなく、いくつかの見方をすることができます。表があれば必ず裏があり、見えるものがあれば見えないものもあるのです。ものごとを一面だけで判断しないということは、生きていく上でも大切な考え方です。
1.この立体の見取り図を書いてみましょう。
どんな立体になるのかイメージできたらもうとけ る一歩手前まできています。
2.見方を考えてみましょう。
「正面から見る」「上から見る」に加えて別の見 方が必要です。それは、何? 「横から見る」これができれば、この問題は解けたことになります。
「角度を変えてものごとを見る」これがこの問題を解く効果といえます。この問いの答えは17個です。わからなかった人は、答えを参考に考えてみましょう。
求められる算数力(算数表現力)
2020年から小学校の教科書が新学習指導要領改訂にともない、改訂されます。詳細に関しては、「小学校教科書改訂―算数編」(学林舎情報)をご覧下さい。求められるのは、従来の算数力をどう活用、応用して社会生活につなげていくかを求められます。今までのように公式を覚える、覚えた知識を当てはめる、確認するというとこから一歩踏み出すことが求めらます。
学林舎の教材でこのような学力を身につけるには、成長する思考力GTシリーズ算数(10-1級)になります。
成長する思考力GTシリーズ算数(10-1級)の特徴は、「考える時間」「考える力」を創出・育てるために必要な4つのプロセスで構成されています。
Step1:知識を広げる
新しい知識を学ぶことを通して、算数の世界を広げることを目的としています。
Step2:観察する
「知識を広げる」で学んだことをもとに、与えられた条件を使って、問題を解く考え方を学びます。
Step3:発見する
問題を解くために、問題の中にかくれている条件を発見することを目的とします。
Step4:飛躍する
与えられた条件をいろいろな角度から見て、「知識を広げる」「観察する」「発見する」で学んだことを使いながら、問題を解くやわらかな思考力を育てることを目的とします。
成長する思考力GTシリーズ算数9級 飛躍する
級別のレベルは下記になります。
小学校1年生レベル
小学校2年生レベル
小学校3年生レベル
小学校4年生レベル
小学校5年生レベル
小学校6年生レベル
中学受験・中学生レベル
成長する思考力GTシリーズ算数を通して伝えたいこと-算数の本質を学ぶ
算数を学ぶ目的は、計算問題で正しい計算結果を出すことでしょうか。
文章題で正答を出すことにあるのでしょうか。
私は、それらは<結果>でしかないと考えます。算数を学ぶことと、正答を出すこととは別のことなのではないでしょうか。正答を出せなかった理由、誤答になってしまった理由の分析は、いってみれば戦術レベルでの課題にすぎません。算数を学ぶことの<意味>は、学習者にとってもっと高度なこと、戦略的なレベルにあるものです。
算数・数学を学ぶ最大の目的は、ものごとの一般化にあります。算数・数学の最大の特長は数概念の理解、およびその原理を知ることにあるのではないでしょうか。算数には「九九」があります。「九九」の弱点は、「九九」を「覚えること」こそが目標になってしまっていることです。私たち大人は、もう一歩踏み込んで考えなければいけません。
「九九」を学習する最大の<意味>は、学習者、つまり子どもたちが、「九九」を覚えることによってどんな数の計算もできるという原理を学ぶことにあります。すなわち、数の概念をきちんと理解することが正しい計算結果をもたらすということを実感させるためなのです。
成長する思考力GTシリーズ算数でも、10級~5級の各回は「知識を広げる」というタイトルのところで概念の習得を目指しています。4級~1級では「概念の利用」というところでその応用力を養っていきます。
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