2019.12.10

学習指導要領改訂・教科書改訂-求められる学力 文/北岡 響

 2020年度から小学校の教科書が改訂され、本格的に新しい学習指導要領を基軸に学習指導が実施されます。文部科学省はどの教科学習においても「表現力育成」を大きな軸と考えています。そのため、アクティブラーニング、反転授業などの導入を学校、教育委員会に推進し、学校の授業を基礎・基本の学習から思考力、表現力といった応用力が指導できるようにすすめております。成長する思考力GTシリーズが学校・教育委員会から注目されている理由もこういった状況があるからといえます。

 私、個人の見解で言えば、成長する思考力GTシリーズを小学校の時に学習すれば、文部科学省が求める「表現力=考える力」は十分に身につくと考えています。中学校、高校に関しては、成長する思考力GTシリーズで身につけた「考える力」を基盤に積み重ねていくことによって、表現力が発展すると考えています。
 理由は、いくつかありますが、中学入試難関校を経験した(同レベルの学習をした)子どもと、経験のない子どもでは、「考える力」のバリエーションに格差があります。つまり、経験値の差といえます。先日もお電話いただいた中で「国立大学の学生に、中学入試の問題に関して聞いたところ、半分以上できませんでしたが、理由は何かあるのですか?」と聞かれ「こういった学習を経験したことが、その学生はなかったのではないでしょうか?または、考える学習を積み重ねてこなかったかもしれません」と。

 今までの学習教材の多くは、教科書を補完したものが中心でした。しかし、補完するということは、教科書でおこなった学習を反復させるという意味で、発展的な効果はほとんどありません。1970年代以降の学習教育は、この補完学習を徹底させることに終始したといえます。社会で求められていたのが「できることを正確に間違わずにする」が中心だったからです。しかし、1990年後半から「できることを正確に間違わずにする」に加えて「自分で考え、問題を解決する」「自分で考え、自分の言葉で表現する」ということが求められはじめました。その状況下において、学習教育はゆとり教育に進み、迷走し、脱ゆとり=ゆとり以前に戻し、ここ数年はPISA、全国学力調査などの結果から「表現力=考える力」を求めるようになりました。

 今後、学習現場で求められるのは基礎学習の「自立化」、応用学習の「授業化」です。基礎学習においては、個々が教科書、教材を使い自立的に学習し身につける。身につけたものを学校の授業で表現する。そのためには、応用学習の「授業化」が学校の先生にとっては、大きな課題といえます。
 学林舎としては、30年以上教材を開発し、多くの子どもたちが使いつづけていく中で、“自立学習”と“考える力”を育てるを基本に教材をつくりつづけてきました。今後もその方向性は変わりません。学林舎の教材が学校機関も含め、学習現場でより多くの子どもたちに届けられることによって、子どもたちの“自立学習”と“考える力”をサポートできればと思います。(文/学林舎 北岡 響)